3.《ネタバレ》 もちろん、小百合ちゃんも美しいし若い二人の想いの成就の物語も良いのだが、今作はなんと言ってもギターの旋律だな。音楽的素養のない私には表現できないけど、マカロニウエスタン的(あるいはスペイン的?)な旋律を聴かせるこのギターの音色は、どう考えても日本の古い漁港の世界観ではないんだけど、若い二人の情熱を感じさせる「潮の満ちた時の音」、潮騒にふさわしい!つまりこの映画は二人の情熱の物語なんだな、と音楽で思わせるのが見事。
有名な「この火を飛び越えてこい」は、結構序盤の出来事で、劇的に感動的な先入観を持っていた(このあと彼は嵐の海に飛び込むわけで、正に「火の中水の中」なのだな。まあ相手が小百合ちゃんだからね)。だが物語は更に続き、後の展開(特に嵐に流されそうになる船を引き止めるエピソード)がちょっとチープというか工夫ない感じでガッカリ感が否めない。まあ、それでも実力で結果を見せた浜田光夫を結局は認めるに至った小百合ちゃんのお父さんの話は、更にありきたりではあるが気持ちの良いカタルシスでした。