15.《ネタバレ》 “Jacob's Ladder”『ヤコブの梯子』。旧約聖書の天国に伸びる梯子。キリスト教に明るい人にはタイトルでネタバレしてるけど、欧米の人はこの映画をどう観てたのかなぁ?そんなタイトルの意味なんか知らない私は、普通に戦争後遺症に苦しむベトナム帰還兵のお話だと思って観ていました。 出口が塞がれた地下鉄。揺れる電球の音。地下鉄なのに窓の外を見てる人々。極め付きは高速首振りヘッド。まるで悪夢を見ているような、“こんなのを見てしまったら絶対怖いよな”って表現がとても上手いです。この当時は、血みどろのスプラッターや、急に画面に出てくるサプライズ系のホラー映画がやや下火となり、新しい怖さの表現が求められていたように思います。本作のゾッとする怖さは、恐らくドラッグ接種による幻覚作用を映像化したものだと思いますが、それがどこか、日本のリングなどのような“呪い”っぽい怖さをイメージさせます。 結末から逆算すると、当時の米軍の化学兵器による副作用の恐ろしさがじわじわ感じられました。しかし、あんな恐ろしい体験を延々と味わった結末が…なんて、あまりに救いが無さ過ぎる。救いが無いからこそ、最後の最後にジェイコブの脳内が“有り得ない存在=生きているゲイブ”を作り出したんでしょうか。ジェイコブが見続けた幻覚の中でさえ、既に死んだと認識していたゲイブ。おかしな話ですが、未知の化学兵器に対する人間の防衛本能が、死の間際に生み出したものだとしたら、とても切なく神秘的ですね。 【K&K】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2024-05-08 22:57:52) |
14.《ネタバレ》 個人的に、いわゆる「実は幻覚でした」系というのがとにかく苦手(『シックス・センス』とかも本質的にはかなり苦手)なのだけど、今作は「場面の中の一部分が幻覚」という訳ではなくて、最初と最後だけが現実であとは全部幻覚(というか夢)という点では中々に大胆な作品だと思う。全部夢なので(なんかサスペンス的な話?な感じも多分に醸しつつも)真ん中の部分では整合性を気にすることなく奇怪・不可解な描写をやりたい放題に入れることが出来ており、何がどーなってるのか分からないという心地の悪さと同時にホラー・スリラーとしての描写自体の見応えもそこそこ十分で、そのジャンルの作品としては単純に出来が相当に好い方だと思う。一点だけ指摘するとすれば、結局サスペンス的な話は「ブラフ」でしかない、その割にその部分の尺自体がちょっと長くて、全体としても部分的に少しだけタルいのが玉に瑕かとも思う(もっとハイテンポに訳の分からなさが突っ走ってゆくという構成の方が、単なるホラー・スリラーに徹するのであれば好かったカモ?とも思う)。 まあでも、これも今回再見して思いましたが、今作は単なるスリラーとしてつくられた映画ではない、と感じるのですよね。オチもそのものとしては単純で明快だけど、テーマ自体はもう少し深いというか、もっとヒトの人生・生と死に関わる何か含蓄のあるモノを描こうとしてる様に見える、というか。個人的に、この(ホラー的な話の流れからすればやや唐突な)ラストはそれでも非常に美しいと思いましたし、ティム・ロビンスの演技自体も(ホラー的な部分以外が特に)素晴らしかった、という側面に、そういった製作側の意図が表れている、という様にも思われます。 【Yuki2Invy】さん [DVD(字幕)] 7点(2021-03-07 04:00:02) |
13.《ネタバレ》 マリリン・マンソンのPVばりの異形系幻覚に捕らわれる恐怖感がヒシヒシと伝わってきて背筋が寒くなった。普通ならガックリくるオチで逆にホッとしたのはこれが初めて。この手の吐き気催す系の映像は常に1回でお腹一杯になるのに、もう一度じっくり観たいと思えた珍しい映画。 【lady wolf】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-08-29 00:02:26) |
12.オチがいいとか悪いとかいう論議にはまったく意味がない。これ以外の終わり方はないからだ。 素晴らしいのは幻想的なシーンの描き方!VFX(CGや合成という意味での)に一切頼らず実写オンリー+編集技で勝負し、手触り感のある恐ろしさを感じさせることに成功している。 【とと】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-10-13 00:57:17) (良:1票) |
11.《ネタバレ》 悲しいかなあらかじめオチを知っての鑑賞だったのでラストでの衝撃は半減だったのですが、それでもなかなか唸らせる内容だと思います。 こういう系はやったもん勝ちで、それこそ今では主人公は実は…な展開は結構見ますけど、やっぱり初期のころだけに衝撃度などは大きいと思います(無論、これよりも前の作品でも同様の展開の作品はありますが)。 一見するとサイコ・サスペンス調で、閉鎖された駅で見る怪物や担架で病院内を搬送される場面など、非常にシュールで印象深い場面もありますが、ストーリーの方はと言えば、死に対して自分はどう向き合えばよいか、という非常に哲学的なものになっています。 現実(敢えてそう呼ぶ)と幻覚の狭間でどんどん精神を衰弱させていくティム・ロビンスや、最後の“ヤコブの梯子”でのカルキンの包み込むような演技など、非常に見ごたえのある作品だと思います。 【クリムゾン・キング】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2007-11-04 04:44:40) |
10.《ネタバレ》 前知識無しにサスペンス映画だろうと思って見て、予想外の終わり方をしたので驚いた作品。死ぬ間際で悪夢と苦悩する男の話だったとは、正直やられた感じです。一体どれが現実なのかと考えたあげくに、実は夢でしたと言われて戸惑いはありましたが(しかし、長い夢やな)。バッドエンドながら、なぜか悪い気はしなかった。むしろ死に行く男には家族と最後に会えて幸せだったような気もした。全体的に暗い映画でしたがもう一度見たくなるような、妙な魅了を持っている映画だと思いました。チョイ役なのに記憶に残るマコーレーはすごい&カワイイです。 【taka-104】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2007-10-23 12:39:27) |
9.《ネタバレ》 終始話に惹きつけられましたし、最後の展開も「あぁこういう形での反戦映画もあるのか」と納得させられました。 【まいった】さん [DVD(字幕)] 7点(2007-04-11 00:40:01) |
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8.《ネタバレ》 ラストにより評価が大きく分かれるタイプのミステリーですね。基本的にこのテのオチは認めたくありません。というのは真面目に見ると、鍵となる人物や小道具などかなりの伏線がパーになってしまいますから。となると見終った後はまぁ5点ぐらいか…と、最初はそのように思っていたわけなんですが、それがジワジワと考え方も評価も変わってくるんですよね。作風そのものはサイコスリラーの様相を呈しているが、妻も子もいる一人の男の悲しい物語と受け取れば何ともいたたまれない。遠く離れた異国の地で男は一体何を見て何を体験したのか。シュールリアリズムを取り入れた悪夢のような表現は独創的で(とくに担架で病院内を移動させられるシーンなど)、戦争による悲劇性が充分に伝わってくる。時が経つにつれ、視点も評価も変わってくる作品ではないだろうか。 【光りやまねこ】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2006-03-15 23:35:28) |
7.劇場に行ったら1りだけ。当時はそんな感じで寂しいかぎりだった。 その後のロビンスの活躍で観直されることが多い本作であるが、いい作品です。 ラインの見事なまでの空間、光源演出とか、エリザベスがまたいいんだよね。 ネタもまた腹のあたりにぐっとくるわけで、アメリカの現状況などにもリンクしてくるような気がする。救いはあるのか。ないよね。 【swamizi】さん 7点(2004-08-13 23:23:50) |
6.《ネタバレ》 冒頭からオチは予想がつくんだけど、 実はそうじゃないかもしれないって思わせたり 夢と現実を織り交ぜながら 観客を思考の迷路に誘い込んでいく。 【虎鉄】さん 7点(2004-02-01 16:17:35) |
5.《ネタバレ》 ウーン。これ微妙にあざとくないですかね?なんか最後の最後になって、本当のジャンルはこうだよ、って言われてるみたいな。そういう映画だと思ってなくて、真面目なミステリーと思って観てたらガチョン。な映画でした。オチの寸前までかなり盛り上がってて楽しく観てたのに脱力しました。じゃあつまんないのか、って言われたらそうとも言い切れないところが私も甘いですが。良く出来たネタ物って、爽快なヤラレタ感があるものなんですが、この作品には「ほー。そう来るか」って敵意がメラメラしただけでした。やるならやるで、正々堂々と正面からかかって来い!と思いますね。でも最初からそう言われてたらわざわざ観なかったかも。やっぱりずるいよこれ。 【anemone】さん 7点(2003-12-14 03:56:53) (良:1票) |
4.それまで徹底的にバカにしていたエイドリアン・アイン監督を、初めて少し見直した映画です。でもね、本作の成功の最大の功労者は、『ゴースト・ニューヨークの幻』とか”死後の世界”にこだわるブルース・ジョエル・ルービンの脚本でしょ? それにエイドリアンたら、現代美術家ベーコンの絵画をあからさまにパクッたりして、「ね、ボクってこんなホラー映画にもご高尚な趣味を持ち込めるのよ」ってなイヤミを感じたりもして…。でも、確かに面白かったです。この作品には、素直にライン監督に拍手を送りたいと思います。 【やましんの巻】さん 7点(2003-10-16 18:35:22) |
3.もしかして全てが・・・そうじゃないのか?という予感がすぐにしたんですが。。。本当にそうでした。でも、最後まで確信は持てない作りになっていて、結構怖いし、如何わしさもあったと思います。それにこれは、アメリカ映画にしては反戦してると思うんですが? 【クロマス】さん 7点(2003-02-11 23:28:01) (良:1票) |
2. この映画を見ていて、一体どれが主人公の現実か分からなくなってしまいましたが、実は主人公が見ていたベトナム戦争従軍時のフラッシュバックが現実だったんですね。死にかけていた主人公が見た幻覚をストーリーにするとは・・・・こういう映画大好きです! |
1.前半は一体何の話か分からないシーンが連続したが、ベトナム戦争で幻覚剤を兵士に使用したか否かがベースになっていることに漸く気付く。最後まで観て初めて、その演出の巧さに感心したのを覚えている。 【イマジン】さん 7点(2001-03-10 11:50:40) |