1.《ネタバレ》 これはこれは、胸がすくほどの傑作バッドエンド。
これでもし都合よくラストで池部良が救われたなら、凡作となっていたに違いない。
二転三転する出来すぎた展開に、途中、不安になったが、ラストのひねりなし、情け容赦なしのバッドエンドで不安解消!
ストーリーを二転三転させて最後に悪者をやっつける、といった陳腐な娯楽サスペンスとなることなく、弱肉強食の世界を痛烈に表現したのは見事と言うほかない。
要するに池部良は新珠三千代に溺れさえしなければ何も起らなかった。
女に溺れたが為に、順調な出世街道から外れ“寒流”に流れされた。
家族にも逃げられた。
全ては女に溺れたのが原因だ。
男がその全人生をかけて築き上げてきた社会的地位が、たった一人の女性と懇意になったが為に、あっという間に崩壊してしまったのである。
なんという怖い話であろうか。
女というものの奪い合いから生じる人間関係の歪み。
そこから生まれる嫉妬や憎悪。
本当に怖い。
これはおそらく、守るべき物を沢山持っている人ほど怖い話なんじゃないだろうか。