1.池部良と吹雪。
これはまさしく豊田四郎監督の『雪国』を想起させる雰囲気だ。
、、と思ったら、豊田四郎も同じタイトルの作品を1930年代に既に作っていたのかぁ。
女子校の教員で28歳の独身男と、17歳の女子生徒との恋愛を描いた文芸ドラマ。
骨太な感じではなく、どことなく軽く仕上がっている。
同僚の女教師の扱いがどうも中途半端で、その存在意義が理解できなかった。
教師と生徒との恋愛を描く上で、あの女教師を出す意味が分からない。
話の筋に女教師は要らない気がした。
杉村春子は相変わらず巧く、二重人格の様な母親役を貫禄十分に演じている。
酔いつぶれたろくでなしの母親、献身的に男を看病する女性。
その全く対照的な二役を、本作では見事演じきっていた。
さすがと言わざるを得ない。
そして市川崑監督。
初期の頃には本作のような文芸作品を作りながらも、戦争映画、ドキュメンタリー、そして後期には『犬神家の一族』の様な娯楽サスペンスまで作ってしまう辺り、底知れぬ幅の広さを感じた。