11.《ネタバレ》 フランソワ・トリュフォー作品の中で唯一未見だった作品で、ようやく見ることができた。
これでフランソワ・トリュフォーをコンプリート。
活字や本が違法とされた近未来を舞台としたSF。
もちろんトリュフォーの作風からすれば異端の内容で、それが原因で今まで見るのをためらってきた。
おそらくつまらないんじゃないか?
地下鉄のザジみたいに気色の悪い内容なんじゃないか?
ジャック・タチ作品みたいに奇妙なだけでつまらないんじゃないか?
そうした憶測を勝手に自分の中で持っていて、この作品を敬遠してきた。
だけど、かの蓮實重彦氏が推薦している作品だ、見ない訳にはいかない。
というわけで、土曜日の暇な時間に意を決して鑑賞開始。
これが独特の世界観を構築していて、意外と完成度が高い。
奥さんも綺麗。
主人公も存在感抜群。
ところがその主人公、最後は奥さんに逃げられ、上司を火炎放射器で焼き殺してしまう。
なかなかのショッキングな展開だったが、ラストは本大好き人間の桃源郷に逃げ込み、難を逃れた。
奇妙な作品であり、決してトリュフォーの得意分野とは思えないが、そこが逆にこの作品の独創性に貢献しており、飽きずに最後まで見ることができた。