1.《ネタバレ》 神代監督の遺作。ちゃかさないハードボイルドを根底に置きながら一人の男のドラマを描き出す。奥田瑛二サイコーなんですけど。永島暎子も素晴らしい。ヤクザ映画だと今なら断然北野武(黒塗りの車が連なって走るシーンは『アウトレイジ』を彷彿させる!)なんだけど、武にあの永島暎子は撮れないんだろうなあ。そう思うとこれが遺作だなんて惜しいよなあ。奥田の延々と淡々と続く独り言が映画を牽引しているんだけど、それダメじゃんってことにならない。その独り言を徹底することで独特の世界観を作っている。しかも奥田以外は台詞が必要最低限ってところもミソ。一匹狼で組を持つこと自体いやがってるのに組長となり、自ら傷をおうことをいとわない破滅型なのに死は向こうから遠のいてゆき、掃除も洗濯も傷の手当も自分のことは自分でするのに誰もがタバコの火をつける。そうなるしかないことのいわゆる人生の諦めみたいなものが独り言によく表れていると思う。