8.《ネタバレ》 三池崇史、普通に映画つくれるんだぁと思った 1962年の「切腹 」のリメイクだ オリジナルをリスペクトしたキャストだと思われる 主人公の市川海老蔵はオリジナルの主人公の仲代達矢の目ヂカラをコピー出来るので選ばれたキャストじゃなかろうか ヒロインの満島ひかりもオリジナルのヒロインの狂気を最も表現できるエキセントリックな女優だ 海老蔵の話し方もゆっくりと軽やかでオリジナルの仲代達矢にそっくりだ 「切腹」の方は、徐々に千々岩求女の切腹の謎にせまる法廷劇のような進行だったが、この映画では謎解きは無く、後半は完全に主人公の津雲半四郎の浪人生活を描く二部構成になっている 従って前半の井伊家に乗り込んだ主人公の話を忘れてしまうぐらいだった しかし「切腹」はミステリー仕立てで出来たかもしれないが、今作はすでにネタバレしているので井伊家江戸屋敷と半四郎を交互に描く必要が無かったのかも知れない 何から何までリメイクしなきゃいけない訳ではないのでこれはこれで直球でわかりやすい しかし物語構成としては前作の方がミステリーやホラー風味もあって格段に優れていると言わざるを得ないかな 前作で強烈に描かれたアンチサムライ精神は前作程強烈ではなく、見せかけの挟持に生きる武士の世界をシニカルに描く程度に抑えられていると思った 「切腹」で描かれた武士の面子への強烈なアンチテーゼは斬新だったが、「一命」はむしろ武士を捨てた義理の息子への共感と復讐(相手を殺すのでは無く、武士の面子を潰す事)としてわかり易く描かれている オリジナルの印象的なシーンをオマージュするシーンもあったが前作ほど毒が無い 殺陣も前作の様な真剣を使った血糊いっぱいの残酷なラストではなく、サムライに対してあえて竹光で戦う主人公の武士を捨てた挟持を前面に見せた エンディングもいい気な殿様に全員でひれ伏すとかで、前作の不祥事をもみ消して、将軍から武士の鏡としてお褒めの言葉を頂くみたいな強烈な皮肉になっていない所が少し寂しいが、殺陣を含めてむしろ重すぎない様に留意した作りになっている 偉大なオリジナルのリメイクとしてはこれはこれで有りではなかろうか 前作に無かったシーンで、瑛太に武家屋敷で振る舞われた紅葉饅頭が終盤意外な所で出て来て、それが物語の冒頭だったのですっかり忘れていて、それを食べる満島ひかりの抑えた芝居がなおさら胸に迫った 【にょろぞう】さん [ブルーレイ(邦画)] 7点(2014-05-10 13:42:22) |
7.《ネタバレ》 仲代達也の「切腹」が大好きで、期待半分、諦め気分半分で見ました。期待した以上の 内容だったと思います。特に前半の瑛太の悲惨さ、かわいそう感はオリジナル以上。印象の強さは、時代の違いによる人間の育ってきた環境の差が「切腹」方が圧倒的に上。 【竜ヶ沢中段】さん [DVD(邦画)] 7点(2014-02-26 23:33:14) |
6.海老蔵が歌舞伎役者だからキャスティングされたのなら凄い。オリジナルのあの重苦しい問答こそ及ばないが、歌舞伎テイストで的確に処理されている。時代劇リメークが薄っぺらく失敗が多いなか三池監督はツボを抑えるのが上手い。 |
5.《ネタバレ》 オリジナル未見。瑛太の切腹は見ていて力が入った。脚本が丁寧で構成がしっかりしている。特に子どもが病気になってからの展開が、じっくり時間を使ってじわじわと見せられ、おかげでとってもかなしい。「武士の面目」がテーマだが、それを看破して爽快って映画じゃないんだよね・・・ 海老蔵の歌舞伎風なニュアンスが気になったが、オチも付いてていい作品でした。 【ラグ】さん [DVD(邦画)] 7点(2012-08-19 00:57:56) |
4.《ネタバレ》 「武士の誇り」という日本人にとって重くて深いテーマ。武士であることを捨てワラにもすがる思いの狂言切腹。ギョロ目の市川海老蔵が主演。瑛太の切腹シーンは痛々しくて思わず蒼白…。 【獅子-平常心】さん [DVD(邦画)] 7点(2012-08-17 00:33:47) |
3.《ネタバレ》 三池監督はいつも彼なりのジョークを必ずといっていいほど入れるものですが、本作はそういうシーンもほとんどなく、相当な真面目路線で硬派に作った印象。これは最初から賞を狙っていたんでしょうねぇ。ライティングもすごく暗いので、人によっては見にくいという批判もあるかもしれませんが、個人的にはこの作品のテーマにこの黒を基調とした重々しい画が合っていたと思います。市川海老蔵の初主演時代劇ということですが、彼の歌舞伎的な言い回しのある演技もなかなか様になっていて格好よかったです。時代劇ではあるけれども、このテーマは現代にもそのまま通用するお話で、武士の面目と人の情けのぶつかり合いはなにかと考えさせられます。個人的には、そういう面目とやらの上っ面や空虚さを、もっと痛烈に描いても良かったかなと。一番印象深いシーンは、なんといっても序盤の千々岩求女の切腹ですね。見てるこっちもお腹痛くなるほどのリアリティ。直接かっ割いてるところを見せてる訳ではないんだけど、音がなかなかリアルで、観る者に「想像」させる巧さが光ります。そんなわけで、リアルな江戸時代を堪能出来たわけですが、それ故に終盤の竹刀を持っての100人切りみたいなリアリティのない展開はちょっと違和感を持っちゃう。この点は三池監督らしい展開なんだけど、前述したように彼の色を抑えながらやってるもんだから、それが中途半端に感じてしまう面も否めなかった。貧乏を描くトーンも、やや上品すぎるきらいがあったと思うし。しかしながら、良作である事は事実です。皆の演技も全体的に素晴らしかった。7点を献上。 【あろえりーな】さん [DVD(邦画)] 7点(2012-06-03 19:32:49) |
2.《ネタバレ》 『切腹』は未見。武士社会の矛盾を痛烈に皮肉った時代劇サスペンスドラマで言わんとしていることは非常に面白いし映画としても見ごたえがある。ただこの作品の完成度を落としているのは最後の殺陣と、貧乏武家に寄り過ぎたヒューマンドラマであろう。ただ悲惨な貧乏暮らしを描けばよいものを貧乏は「かわいそう」なようにダラダラと湿っぽく描いたのはいかにも失点。殺陣シーンも初めから三人の武士に勧解由が切腹を命じて筋を通させるだけで締まるものを冗長に過ぎた。あえて描くなら木刀で実力を見せた後、相手から真剣を奪って構えて見せたとたんに周りが一斉に怯み、それを見て井伊家の武士達の面目を潰したことに満足して切腹した果てるような展開のほうが主題には合ったのではないか。見ごたえはあるものの復讐劇としても風刺劇としてもそこの所の個人的な価値観のズレが惜しい映画であった。 【Arufu】さん [DVD(邦画)] 7点(2012-04-17 16:53:56) |
1.見応えあり、でしたね..ただ、クライマックスの大立ち回りシーンは、作りすぎ、強すぎ、長~い (あんなに強かったら、傘作っていないで、剣術道場開けるでしょ)..それに、海老蔵の風貌はいいんだけど、一人だけ浮いた、歌舞伎のような台詞回しが、頂けない..オリジナルの仲代達矢には、到底敵わない... 【コナンが一番】さん [DVD(邦画)] 7点(2012-04-17 12:53:05) (良:1票) |