2.《ネタバレ》 個人的に今回のドラ映画は安牌を切ってきたなという印象です。ファンも多いリメイク元の『のび太の大魔境』から殆どディテールを含め変更しないという徹底的な作り。「じゃあ今リメイクする意味ないだろ」と言うと、そう言う訳でもなく、ハッキリとオリジナル超えをしている点もあったと思います。
一つは美術について。この映画はジャングルやサバンナ、渓谷が舞台となるのですが、その背景が本当に綺麗です。そりゃジブリの『もののけ姫』とまではいかないものの、そんじゃそこらの劇場版アニメとは思えないレベルだと思います。特に終盤、火に包まれたジャングルは影の揺らぎも含めて凝っていたなぁと。これは絶対にオリジナルを超えている部分。勿論、それだけ時代が進んだってこともありますが。
もう一つは省略の演出が見事でした。物語の終盤、ジャングルが火に囲まれ一行が絶体絶命のピンチに陥り、ペコが敵にひとりで立ち向かおうとしますが、そこにジャイアンが居てもたってもいられなくなり助勢する。のび太、しずかちゃん、ドラえもんもそれに加わる。このシーンをキャラクターの声を抜きで動きだけで表現する。ベラベラ喋ってしまうより、遥かに映画的な場面でした。正直こういう演出を旧ドラの監督が出来るかというと私は出来ないんじゃないのかなと想像します。
反対に残念だったのは、予言が実現し未来からやってきた5人が戦いに加わるシーンで、とってもお気楽なテレビ主題歌を流しちゃうこと。ここはもっとテンションがアガるBGMを使って欲しかったなぁ。それから結構恰好いい敵役として登場したサベール(敵の近衛隊長)の相手が、剣の腕に覚えのあるペロではなくのび太になってしまうのもなんだかなー。ペロは正直この映画で決定的な活躍を見せてないんですよね、サベールを倒したのはのび太だし、敵の軍勢をやっつけたのはブルススと未来から来た5人と巨人像なんだもの。敢えて言えば雑魚っぽい二人組をやっつけた位でしょうか。そこはペロにも活躍の場をあげてやってもいいんじゃないの?折角、お忍びで剣の稽古までしてたのに格好つかないよ。