3.男、女、若者、老人・・・作品ごとに様々な事情を抱えた決して器用とは言えない主人公が登場しますが、いつもマザースキーの映画は優しさがありますね。
本作では夫の浮気が原因で離婚した女性が自立していく姿を描いていますが、女性映画の秀作がいくつも生まれた70年代の時代の空気を感じる作品です。
主演のジル・クレイバーグが実に良かった。僕にとっては馴染みの無い女優さんで、女優としては地味な印象の人ですが、スケートリンクのシーンでの彼女の笑顔を見ているとマザースキーが主演に彼女を選んだ理由が分かるよう様な気がします。
大きな大きな絵を持って街を行く彼女の姿で作品は終わりますが、よろめいたり、風にあおられたりしながらも絵を抱え街を行く彼女の姿からは、これからも困難はあるかもしれませんが、彼女は力強く人生を歩んでいくだろう。そんな希望を分かりやすく感じさせてくれる、爽やかさのある素晴らしいラストシーンでした。