1.もともと韓国映画はあまり観ない方だったんだけど、レベルの高い作品を何個か見て、その完成度の高さにはまってしまい、この映画も特に有名じゃないけど観てしまった。韓国映画は描きたいもののためなら、倫理観など軽くふきとばし、とことんまで残酷さと題材を追求する凄みがある。この映画も、見る人によっては、その最低最悪ぶりに、反吐が出てしまうほどの内容であった。まず問題なのは、主人公にまったく感情移入できないところ。なぜなら、主人公は臓器売買組織で働く男であり、その仕事は、臓器売買のために特定の人間を拉致し解体まで実行する怪物たちのひとりであるから。一応、足を洗おうとしていたり、過去に悲劇があったり、ちょっといいこともしようとしたりしてるが、今までやってきたことが最低最悪であり、いろんな問題点も個人的なことばかりなので、クズであることに変わりはない。だからほとんどの人は感情移入できずに、この映画と距離を置くことにはなると思う。前半のダラダラした展開も僕にはちょっと退屈だった。しかし、後半、この映画は観客に牙をむけてくる。まず、その犯罪の実態をドキドキ感を煽って、犯罪者目線で描くので、観てる者は自分もその犯罪に手をかしてるよーな本当に嫌な気持ちになる。その後に、たたみかけるように、恐ろしい真実が次々と明らかになる。そして、ただ、ただ突きつけられる嫌な現実に、どんどん嫌な気持ちになるしかなかい。フィクションとはいえ、実話をベースに作られている。臓器売買の闇がいかに巨大で深く恐ろしいものであるかを、観てる者は知ることになるのだが、そのために、こんな嫌な気持ちにさせられるとわ。だからオススメはしない。ちなみに韓国映画お得意のエンディングクレジットの途中でのオマケの物語がある。これで、もっと嫌な気持ちになる。