1.《ネタバレ》 近年のジェフリー・ラッシュを見ていると名優の名を欲しいままにしているといった感じですが、
本作での静かなる素晴らしい演技もまた感動的でした。
ちょっと怖い、でも実は優しいその奥様を演じたエミリー・ワトソンも、
主人公の少女リーゼルを演じた女の子も、この家に匿われたユダヤ人青年を演じた男優も、
皆が素晴らしい仕事をしています。
彼らがやがて本当の家族のようになっていく過程や、
ナチスにより言論や行動の自由を奪われた生活の中でリーゼルが本と出会い、
読み、そして自ら書くことを通して成長し過酷な境遇、時代を力強く生き抜いていく姿が感動的です。
冒頭の本作の語り部が語る内容が辛い展開を予感させてしまうのはどうだったのかと思いますが、
理不尽に大切な人の命が一瞬の内に奪われていく。これが戦争。
この語り部の正体は意外な人物?だったのですが、
その彼ですらラストではリーゼルの人生を通して生きること、人生の素晴らしさを語っている。
リーゼルが素晴らしい生涯を全うしたことを伝えてくれる、この語り部の本作最後のメッセージもまた良かった。