1.《ネタバレ》 寂しさを抱きながら死んでいった主人の亡骸をおそらく数ヶ月以上見続けたアンドロイドは、自我を生じて主人をいとおしみ(寂しいという感情が芽生え)主人の記憶感じ方の蓄積としての自分の存在意義を、彼女の意志を継いで竹の花を発見することに求める。
病状の進行を歪んだ画面にする、死に行く経過をロングで暗くする、ピエタのミイラを見せる、映像表現はとてもすばらしい。
若山牧水とカールブッセの引用も効いている。
小屋も田舎暮らしのようで枯れた芦原の中でさびしい情景を美しく表現している。諏訪市の霧ヶ峰高原だそうだ。
この画は記憶にずっと残るだろう。
その一方で、
孤独であるために被差別者の設定で外国人を主役にし、酷薄な在日韓国人を相手役にする。終末の寂しさを出すために発電所の事故と国外避難の設定にし、AIもそうだが時事問題的で妙に生々しく党派的主張が強い。舞台劇の映画化なのか何故か平板な演技と会話を延々続けて眠くなる。扱う題材はよいし、映像表現もよいのだが頭で考えた映画。
アンドロイドの声は人間の当てレコだろうか。これも機械なら技術の進歩はすごいことなのだが。