1.キャストを見れば、雷蔵・本郷功次郎・勝新の若手三大スター共演、と誰しも思うところですが・・・雷蔵以外の二人、完全にチョイ役で、待てど暮らせど出てきません。しかし心配するなかれ。多彩な脇役たちが登場し、映画を盛り上げてくれます。
タイトルは「忠臣蔵」となっていて、また実際、忠臣蔵を元にした物語なのですが、時代は幕末に置き換えられ、任侠モノとして作られています。これが意外にピタリとはまってて、うまいんです。掛川の次郎吉親分が、老中にたて突いたばかりに、理不尽に処刑されてしまう。次郎吉一家は解散し、子分たちは身をひそめながら、復讐の機会を伺うのですが、その間、周囲の誤解をじっと耐え忍ぶ姿、確かに忠臣蔵テイストを堪能できます。しかもこの復讐劇、やくざ風情が老中に立ち向かおうってんだから、本家忠臣蔵以上に大それた無謀な計画、テンション上がりまくりなのです。しかしこの無謀さが無謀なだけに終わらないのが、やはりこの幕末という時代のなせるわざ。ここにさらに、清水の次郎長親分なども登場しちゃったりして、もう何でもアリアリのハイパー忠臣蔵。
敵役の配置も本作の面白いところで、「討ち入り」に向けてただ「浪士」が潜伏してるんじゃなく、敵方もその間、追及の手を緩めない。うん、この作品、スパイ映画でもあるのです。中でも光るのが、好敵手・天知茂。もちろん、上田吉二郎オヤブンの極悪ぶりがあってこそ、この知的なクールさが光るところでもあるのですが。
という訳で、これは、楽しめますよ。