1.《ネタバレ》 良作。東京国際映画祭で鑑賞。実にさわやかなボーイミーツガール作品。どことなく(←でもないか)わたせせいぞうっぽい80年代風の色使いやユニークで丁寧に作られた映像もさることながら、(ちょっと気になる描写はあるが)いわゆる悪役のいないストーリーで安心して楽しめる作品。タレント声優であることは、あまり気にならなかったし、デートムービーとしても良いと思う。夏向きの映像やストーリーであり、とっくに完成していたのに新型コロナの影響で上映が延期され、「夏に見てほしいから」という意向で1年延期になったのは残念だけど、そういう内容であることはたしか。延期されて空いた時間のために、監督自身が「サイコトチャンネル」という制作裏話のような動画を配信しているけれど、「これ、ネタバレといわなくていいの?」というくらい予告編にもない本編映像が出てくるので、ネタバレ厳禁な人は要注意。
【ネタバレ注意】
まさかの出っ歯矯正がキーポイント。個人的な過去が思い出されるのと、そのせいで伏線が分かりやすかったということはある。立てたフラグを確実に折りにくるし、クライマックスの盛り上げ方がベタベタだし、ヒロインの安易な行動が気になるところはあるものの、話の流れがよい。ただし、脇役(ビーバー)の落書きが何もとがめられることもなく、最後の盛り上げにさえ使われているのは、(舞台設定そのものは80年代ではない)今どきの映画としてどうかと思うポイント。外国人設定なのは多様性を意識したのかもしれないが、「そういうことをするキャラ」にしてしまうのは安易なのではないか。そのあたりが別の描写で置き換えられていたら、もう1点上げてもよかった。あと「ビーバー」も出っ歯揶揄で使われる言葉なんだけど、そこは関係なかったのかな。