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茜色に焼かれる

[アカネイロニヤカレル]
2021年上映時間:144分
平均点:6.43 / 10(Review 7人) (点数分布表示)
公開開始日(2021-05-21)
ドラマ
新規登録(2022-08-22)【目隠シスト】さん
タイトル情報更新(2023-10-27)【イニシャルK】さん
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監督石井裕也〔監督〕
キャスト尾野真千子(女優)田中良子
片山友希(女優)ケイ
オダギリジョー(男優)田中陽一
永瀬正敏(男優)中村
芹澤興人(男優)
笠原秀幸(男優)斉木
泉澤祐希(男優)教師
前田亜季(女優)幸子
鶴見辰吾(男優)有島耕
嶋田久作(男優)成原
脚本石井裕也〔監督〕
製作竹内力
プロデューサー河村光庸(ゼネラルプロデューサー)
制作スターサンズ
配給朝日新聞社
スターサンズ
ヘアメイク豊川京子
編集石井裕也〔監督〕
録音柴崎憲治(音響効果)
照明長田達也
あらすじ
田中良子が交通事故で夫を亡くしてから7年の歳月が流れた。加害者である老人は罪を贖うことなく天寿を全うする一方、良子はシングルマザーとなり金の工面に苦労していた。職場では不当な扱いに耐え、息子の純平もイジメ被害に。この世は理不尽な事だらけだ。そんな良子の口癖は「まあ、頑張りましょ」。2人は厳しい現実に立ち向かっていく。
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3.《ネタバレ》 それこそ正に、オーラスで尾野真千子が演じるひとり芝居のタイトルの様に、私には今作、少し宗教の様な話だ、と思われたのですね。それも、私が思う本来の形の宗教の話に、とでも言いますか、大方の宗教って、結局はヒトに「正しく」在るコトを求めるモノだと思っていて、その為にナニが=どう生きるのが「正しい」のか、とゆーのを宗教は戒律という形で示すモノだと思っています。その一方で、この世界とゆーのはまた、ほぼほぼ全く「正しい」と言い切れる様なモノではないのも確かだとは思ってまして、時としてそんな宗教上の正しさとゆーのを完全に嘲笑うかの如くに不条理で不公平なモノである、とも(やはり)思っているのですね。私が考える宗教とゆーのは、そんな間違った世界の中に於いても、自分が自分の信じる何らかの「正しさ」に唯殉じる様にひたすら真っ直ぐ生きてゆくコトが出来たのなら、最期、死ぬ瞬間に自分だけは、自分が確かに正しかったと信じて死んでゆくコトが出来るのだと⇒そして、その瞬間に自分以外にもう一人、唯ひとりだけ神が、貴方の他に貴方の正しさを知って呉れていると、それこそが宗教だと思って居るのです。

だから、今作の尾野真千子とゆーのはその意味で、その彼女が信じているのが理屈とか合理主義とかではなくて、世界がコレだけ間違っているのだから私はもうそんな世界の所謂「正しさ」なんて屁とも思わない、という「意地=彼女だけの正義」であるという意味で、私にはやはり少し宗教に近い話だと思われたのです。ですし、その彼女が信じる彼女の「正しさ」それ自体の中身であるとか、或いは彼女がそんな「意地」を抱くに至った過程とかにだって、まず個人的には十二分に共感できるとも思ったのですよね。そしてその上で、こんな世界で彼女の様な人間がその「意地」を貫き通すのが如何に困難なコトであるのか⇒だからこそそれが如何に尊いコトなのか、というコトを私が理解している(積りである)コトも含めて、私自身はやはり、今作の彼女がナニかドコか間違っている、などとは決して思えなかったのですね。それこそ、ヒトの在り得る「正しい」在り方の一つだと、確実にそう感じては居るのですよ。

例えば私が思う今作と類似する映画として、古くは『西鶴一代女』の田中絹代とか、また『㊙色情めす市場』の芹明香だとか、或いは『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のビョークであるとかが、あくまで私個人の感覚の中では美しい上に何処か「神々しい」のは、彼女らがそーいった「理屈では無いモノ」を信じているからだ、とも思っているのですし、挙げた3作品はまた単純に、そーいった彼女らの美しさ・崇高さを描いてゆくのが主眼という作品だったとも思うのです。翻って、今作は重ねて、前の3作品に似た様な内容・テーマを擁する作品だと(一見には)思われたのですが、一方で最後まで観切ると実はそーいうコトでもなかったかな…とも思われていまして、それは端的にクライマックスに於いて尾野真千子(の意地)が「折れてしまう」から=彼女は天使ではなくて唯人間であったから=彼女の美しさとゆーのは唯「人間」の美しさであったのだから、と思うのですね。であるのならば、今作に描かれている筈の(他の)ナニか、とゆーのはまた、一つは私には確実に「この世界が(それでも)如何に素晴らしいか」というコトであったと思えています。がしかし、私は実は其処には=今作に描かれるその「世界の素晴らしさ」には、また正直あまり共感できなかったのですよね。これ程マデに・異常なマデに世界を極端に不条理なモノとして(最初から最後まで)描き抜いておきながら、ラストにほんの少し永瀬正敏がふたりを助けてくれたから(やはり)世界は美しい、と言うのには少し無理がある・ワリに合っていないと、そして何より、その美しさとゆーのはまた、もしかしたら更に不幸な片山友希を謂わば「生贄に捧げる」コトで得られた様なモノではないかと、そう見えてしまったのが理由だと思うのですね。

その意味では、私の今作の評点は本来、これより一点低いのでありますね。同じく「世界の素晴らしさ」を描いた作品であれば、直近ではそれこそ『すばらしき世界』の方が私には遥かに、その世界が素晴らしいというコトの「理由」に納得がゆくのですよ。でも同時に、今作にはもう一つ、実に素晴らしい「母と息子」が描かれて居る、ココにこそ、私は今作で最も共感が出来ると思ったのですよね。こんなに苛酷な境遇でも、否だからこそ、そして彼女が母親だからこそ、この息子がこんなにも立派な人間に育ちつつあるという、それがどんなに尊い事実で、また希望であるかと、そこには私は無限に納得して共感するコトが出来るのですね。確かに、観る大半の時間が極めて辛いという映画ではありますが、私はそれでも、耐えて観切って好かったとは思えました。
Yuki2Invyさん [DVD(邦画)] 7点(2024-01-10 21:11:19)
2.はっきりいって尾野真千子ってあまり好きな女優じゃなかったが、この映画は前半と後半、終盤とキャラクターが大きく変わり、表情、セリフ、仕草がすごくうまい。息子役の俳優も非常にうまい。ちょっと突飛なエピソードもあるが、この物語の世界観にずっと浸っていたい感じ。
いそろくさん [映画館(邦画)] 7点(2023-01-21 23:55:48)
1.《ネタバレ》 尾野真千子の叩きつけるような演技が心に刺さる。
息子役の少年も共鳴するかのように、叫びながら静かにそこにいた。

旦那のオダギリジョーがそもそも悩みつつも、あがいてる人だった。
他所に子供まで作るのだが、尾野真千子は、そんな彼を好きになる。
そして、生まれた息子を愛して、この世界を生き抜いていく。
最後、バタバタと落とし前がついていくのだが、

最後の「神さま」という題の劇。
走る走る、尾野真千子が走る。
そんな彼女を見て、少年は、これが自分の母親だと、世界と結びつく。

茜色の夕陽にいつまでも夜にならない、いつまでも死にきれない、
生かされる二人の母子に、我々も生きねばと勇気づけられる。
筋よりも、尾野真千子のキャラを描いた、コロナ禍の中で生まれた石井監督の力作。
トントさん [DVD(邦画)] 7点(2022-08-23 00:54:23)
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【点数情報】

Review人数 7人
平均点数 6.43点
000.00%
100.00%
200.00%
300.00%
4228.57%
500.00%
600.00%
7342.86%
8228.57%
900.00%
1000.00%

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