4.《ネタバレ》 達するはずのない、未だ見ぬ父を求めて旅をする姉と弟。その旅は幼い彼らにはあまりに過酷で、まさに混沌と言える。しかしその中でお互いに支え合う2人に感動を覚える。
そして着いたはずであろうドイツ。光が射し、霧の中の風景に一本の木が見え始める。駆け寄っていく2人の姿に想起させるものは、終わりではなく始まりでした。
印象に残っているシーンは、姉が旅芸人の青年の胸で泣き崩れるところ。
感情を表に出す弟と反対に、姉は強く耐え忍んでいた印象があったので、感情を露わにしたこのシーンには私も感情が高ぶり、強いインパクトを残してくれました。
成長していく姉と弟の姿を見て、大人になるっていうことがこれほど大変なのかと思うのは、私が環境に恵まれている日本人だからでしょうか。
アンゲロプロス監督の現代社会に対する悲観を表した作品は、日本人の多くは理解するに難しいのかもしれないと感じました。
でもこういう暗喩や象徴的なシーンに満ちた作品は面白く好きだなあ。