2.《ネタバレ》 「お金」というものが重大なテーマともなっている家族群像劇。
そこに恋愛、親子の情、夫婦問題、老後の生活などが盛り込まれ、まさにてんこ盛り状態。
そこに、原節子、高峰秀子、宝田明、仲代達矢、草笛光子、淡路恵子、加東大介、上原謙、杉村春子、笠智衆、三益愛子、森雅之という凄まじいまでのオールキャスト。
ここまで大風呂敷を広げてしまうと、さすがまとまりは悪い。
ただし、ラストの笠智衆と三益愛子の出会いのシーンは素晴らしい余韻を残した。
まとまっていないようで、実はまとまっているような気もする不思議な作品だった。
また、原節子は自然な美しさを放っていて良かった。
小津作品では、どうもいびつな笑顔や役回りが目立ち、小津作品を観ている限りではあまり好きな女優ではなかったが、本作での原節子は、とても魅力を感じた。
彼女のイメージにかなり近い役柄であったような気がする。
だからこそ、彼女のナチュラルな魅力が出ていたのではないだろうか。
高峰秀子だが、彼女ほどの女優をこんな役に使うのはもったいない。
森雅之にしてもそうだ。
そして上原謙もチョイ役すぎた。
杉村春子のいじわる姑は板についていて良かったが。