1.《ネタバレ》 3時間半に渡る大作だが、それほど長くは感じなかった。
冒頭の石原裕次郎と北原三枝の出会いのシーンからして魅力たっぷり。
映画が始まって、裕次郎が登場して、そしていきなり北原三枝の胸をチクリと触る。
まさに、触りからテンションが上がった。
途中、北原三枝が豪邸の芝生の上で、優雅にバレエダンスを披露するシーンが出てくる。
素人目から見ても、そのダンスたるや、しなやかで実に美しく、魅了されてしまった。
この頃の北原三枝は、エキゾチックな容姿とスタイル抜群のスレンダーな肢体を併せもち、この時代にしてはオバサンパーマではなく現代から見ても普通の髪型であり、また、このバレエダンスの素晴らしさときたら、何でも揃っていて、大スターの裕次郎が嫁に選んだのも頷ける完璧さ。
話としては、大金持ちの一家に渦巻く、複雑な血縁関係や身体的な障害、そしてそれに伴う各人それぞれのコンプレックスを、長い尺を有効に使って丁寧に描いており、3時間半たっぷり楽しめる内容。
裕次郎のキャラが際立って異質で、表面的には怖いくらいに明るく颯爽としているのに、何故だか屈折しているものを内に秘めている。
その何だか得体の知れない、いびつな人間性が実にミステリアスで魅力的あり、最後までひきつけられた。
よくある名家の内幕を描いた作品とは一線を画し、ドロドロとした人間模様を前面に押し出すのではなく、あくまで表面的にはドライなイメージで家族を描いており、その合間に、時折ダークな家族の内情が垣間見えるといった作りで面白い。
青春モノとしても十分に楽しめるし、裕次郎ファンも楽しめるし、北原三枝や芦川いづみといった女優の魅力も堪能できるし、3時間半という長い尺が、実に合点のいく大作である。
限られた登場人物のほとんどが、実は血縁関係にあるという設定には、やや都合の良さを感じるものの、ラストの終わらせ方が実にうまく、未来に希望を持てるすがすがしいラストには、十分満足がいった。