3.東京で生活する女性たちの孤独を、リアルに描いており秀逸。
都内のコインランドリー、夜更けの電車、路地裏の猫。
全て何気ない描写だが、都内で孤独を感じたことがある人なら分かるであろう、極めてリアリティのある繊細な描写は見事。
出演者も粒揃いだが、個人的には好きな役者は出ておらず、そこは残念。
それと粒の粗い画像と聞き取りにくい音声は考え物。
狙ってそうしたのかもしれないが、逆効果と言わざるを得ない。
切り口は実に良いが、それを演出するセンスがいまいちなのが残念な作品。
ただし音楽は素晴らしい。
特にラストに流れる音楽のみずみずしさ。
良い部分といまいちな部分が共存する作品だが、どちらかと言えば好きな部類の日本映画。
派手な演出とスピード感ばかりを重視したメジャーな日本映画が氾濫する中で、本作のような作品はとても貴重。
2002年製作ということだが、2010年代に入った日本映画界でこのような作品を創ることができる環境はあるんだろうか。
興行収入と話題性がますます重視される現在の映画界で、このような作品が世に出るのは難しいかもしれないが、それだけにこういう作品に出会うと、嬉しい気持ちになる。