17.《ネタバレ》 毎年クリスマスが近付く度に観返したくなる映画。
正直、色々と粗も目立つ作りなのですが、何となく好きなんですよね。
仕事では有能だけど、そのせいで忙しくて、家族との間に溝が出来てしまっている主人公。
そんな彼が、幼い息子と約束したプレゼントの「ターボマン人形」を求めて、クリスマスイブの街を駆け回る事になる……という、そのプロットの時点で、もうハートを鷲掴みにされちゃう感じ。
主人公は、ちょっと感情的だし、息子の為とはいえ色々とマナー違反を犯す事になる訳ですが、演じているシュワルツェネッガーの愛嬌ゆえか、ちゃんと感情移入出来るようになっているのも上手いですね。
象徴的なのが「隣家の子供のプレゼントを盗もうとした場面」で、観ている側としても、これまでの交通違反やら行列の割り込みやらと違い(それだけは、やっちゃいかんだろう)という気持ちになるんです。
で、そんな場面では主人公も思い止まり、良心に従って、盗んだプレゼントを返そうと引き返す事になる。
そういった「やり過ぎない」バランス感覚が、絶妙だったと思います。
作中で「不人気」扱いされているブースターが、可哀想になってしまう事。
そして「クリスマスプレゼントを貰えなかった子供は、将来ロクな大人にならない」というメッセージが感じられる事などは気になりますが、どちらもコメディタッチで明るく描かれている為、後味が悪くなるという程じゃなかったです。
「一番のお客様」という仕事相手に対する決め文句を、妻に対しても言ってしまい焦る場面とか、寝室の灯りを消した後の顔芸とか、ちゃんと「シュワルツェネッガーがコメディをやっているからこその魅力」が感じられる辺りも嬉しい。
回る車輪と、時計とを重ね合わせる演出も好きだし、喧嘩したトナカイとの間に友情が芽生える場面なんかも、ベタだけど良かったですね。
そして何といっても、紆余曲折の末、主人公がターボマン人形を手に入れた時の達成感が、実に素晴らしい。
その後、人形を受け取った息子が、自分以上に人形を欲しがっている人を見つめ「メリークリスマス」という言葉と共に、笑顔で人形を譲る結末となるのも(うわぁ、良い子だなぁ……)と思えるしで、ここの流れが、本当に好きなんですよね。
何ていうか、凄くクリスマスらしい気分に浸れる感じ。
プレゼントを贈るという行為は、受け取る人だけでなく、渡す人をも幸せにするんだな、と思えます。
映画のラスト「息子のプレゼントに感ける余り、妻へのプレゼントを忘れていた」というオチは弱いようにも思えますが、この後に再び主人公が奔走する姿を想像すると、実に微笑ましいですね。
今度は息子の為でなく、妻の為にプレゼントを探し歩く続編映画が、頭の中で上映されるかのよう。
そんな素敵な妄想、映画が終わった後もまだまだ楽しめるという余韻こそが、本作からの最大のプレゼントであったのかも知れません。