6.《ネタバレ》 1挺が何億円という高価な額で落札されるヴァイオリンの名器、この映画は1681年に製作された幻の名器が、何世紀ものの時を経てモントリオールで競売される物語。そこには誕生にまつわる話や、多くの人の運命をも変えた歴史が綴られる。
ウィーンでの神童ともいうべき少年、オックスフォードでの悪魔を思わせる鬼才(パガニーニを連想させる)、西洋文化大革命の嵐の上海とそれぞれが大変すばらしい。そしてモントリオールのオークション。楽器や音楽を扱った映画としては最高に近い。(実際の演奏も世界的なヴァイオリニストのジョシュア・ベルが行っている)
ところがそれほど価値のあるヴァイオリンでありながら、その扱われ方が大変粗雑。本来なら、神経質になるくらいていねいに扱われ、慎重に保管されなければならないはずなのに・・・。この映画には名器を慈しむという心優しい人が登場しないのは残念だ。
そして映画のラスト、名器が本来あるべきところに戻ったとも言えるかもしれないが、完全なすり替え窃盗犯である。
そしてまたもうひとつ気になったのがメトロノーム、モーツァルトの時代にはまったくなく、ベートーヴェンによって初めて使われたというメトロノームは19世紀になってから、時代がちとおかしいのでは・・・。