7.《ネタバレ》 4Kリマスター版リバイバル上映で視聴。
今だと、スティーブ・ジョブズの功績により、デザイナーこそが新しい未来の生活のビジョンを幻視し、それが出資され実現されることで、本当に現実の生活そのものを根本から変えてしまう、ということがまさに実感できるんですけど、当時は、経営者として経営の手腕があるとか、技術者として物を作れるとか、実際的な技能がある者は評価できるけど、そうではない「ビジョン」を提示するだけの者にどのような価値があるのか、というのを評価する能力を持った者が、当時のウォール街の重鎮の中には一人もいなかった(実際、車は結局米国は海外から購入するのが普通になってしまいましたし)、ということでしょう。金はあったので、ちゃんと「夢」に理解をして実務のできる経営者がサポートにでもついてくれればよかったろうに……という感じです。
主演のジェフ・ブリッジスは昔から好きな役者さんですが、夢見がちで、人情味あふれ、チャランポランで、ずさんで、デタラメで、とにかくイカれてる、だけど、その熱い夢に絆されて、皆、思わず手を貸してしまう、魅力的な人物像は、まさにはまり役という感じで非常に良かったです。経営面とかあかん感じのダメ人間ぽい所も、とてもらしくて良い。
個人的には、調達人のエイブ・キャラッツ(マーティン・ランド―)が、最初歯牙にもかけなかったのが、タッカーの夢に感染して絆されて、ひたすら献身的に尽くすようになるデレ具合が、すごい愛らしくて好きでした。
気持ちの良い良作でした。