1.《ネタバレ》 楽しみにしていた山田監督の人情喜劇。いやいや、笑わせてもらいました。
今時珍しくなった、3世代、まだ結婚していない次男坊までもが同居する大家族。
予想以上のドタバタ喜劇でしたが、作品に流れる「昭和」の空気が心地いい。
映画の中でこんなベタベタのズッコケ久々に見たな、というような昭和的ギャグもどこか懐かしい。
このあたりは評価が分かれるかもしれませんね。
笑いに関しては家族全員が重要登場人物。全員がちゃんと笑いに絡んで貢献している。キャラクターも実に分かりやすい。
唯一、笑いにはあまり絡まないのが妻夫木演じる次男ですが、アクの強いキャラ揃いの平田家にあって、
一家の良心ともいうべき彼と婚約者。これからの時代に新たに家族を作っていこうとしている2人の価値観や存在が効いています。
天気のいい休日にも関わらず深刻な家族会議。両親の離婚問題を話し合っているはずが
お約束のように話は脱線しまくり。この家族会議の役割分担もバッチリです。
また、小林稔侍演じる探偵、笹野高史演じる市民ホールの警備員のおじさん、
病院で「あんな落語家みたいな顔した先生が・・・」という後にお約束のように登場する人まで・・・。
この家族の物語にスポット参戦するおじさんたちも皆がいい味を出しまくっています。
本作のタイトルといい、登場する場末の二番館(これも昭和ですね…)のポスターにDVDに
うなぎ屋の出前の男が歌う「男はつらいよ」。山田監督、やっぱり今でも寅さんが懐かしいのかな。
でも、寅さんが大好きな僕にとってはこんな寅さんの挿入がとても嬉しく感じられました。
本作は「東京家族」(未見です)のキャストがそのまま再登場ということですが、
最後には思いもしなかった、笠智衆さんまで登場されます。
平田家の前の道路を歩く近所の人がお年寄りばかりだな・・・。と思っていたら、
最後に「このあたりも空家が増えてきて・・・」と。
昭和の空気の中に現代の庶民の抱える事情がやんわりと挿入されていました。