1.《ネタバレ》 “正義の味方に憧れて”というよりは“日頃の鬱憤を晴らすため”の社会悪退治。主人公が欲したのは、日頃やりたくても出来ないコトを実行するための(彼らなりの)キッカケなり、大義名分なのでしょう。ですから『ヒーローマニア』というタイトルにも関わらず、コスプレ感が希薄なワケです。『キック・アス』よりも『市民ポリス69』の世界観の方が近いかもしれません。イイなと思うのは、主人公らの人物造形。人間の汚い部分をきちんと(恥ずかしげもなく)描いていること。横領に下着泥棒って、なんて自分の欲望に正直なんでしょう(苦笑)。そういう意味では純粋な“ヒーローもの”より、圧倒的にリアリティがあったと考えます。彼らが戦うのは、暴走族、通り魔、会社組織。言い換えるなら“違法行為”“不条理”“システム”です。紛れもなく、彼らも属している『現実』に対する抗い。結末は、周りを無理矢理変えるのではなく、とりあえず自分が変わることでした。いつか周りも変わることを僅かに期待して。悪くない落としどころだと思います。竹中直人でも、香川照之でもなく、おじさん役に片岡鶴太郎をキャスティングしたのは素晴らしい判断でした。片岡氏が持っているナチュラルな“狂気”が役柄にピッタリ。今の鶴ちゃんなら、金槌くらい携帯していても不思議じゃないなと(失礼)。ちなみに小松菜奈のメガネ女子ぶりは国宝級でありました。