145.巻頭では無気力で新しい環境に適応する気もない女の子の千尋が両親と共に廃墟になったテーマパークらしい場所に迷い込んで好奇心が旺盛であって然るべき子供らしくもなく「帰りたい。進みたくない。」とゴネるという決して魅力的とは言えない始まり方なのですが、両親がブタに変えられ、野原だった入り口のゲートと江戸風の街路との間が海か湖に変わって大きな遊覧船が千尋に向かって進、接岸すると胴体が無い仮面が下船してくる下り(その間、沖縄の音楽のようなBGM)から俄然興味が湧いてきました。そしてミステリアスな昔の装束を纏った禿(かむろ=おかっぱ)頭の少年ハクの出現。。。 ハクはその後も、千尋が魔女の湯ババによって名前を「セン」と変えられた後もずっと超自然の世界で影に日向に千尋を守ろうとするのですがその理由が明かされるのはずっと後になってからです。しかし、千尋が経験した世界は超自然の世界ではなく、わたしたちが暮らす世界そのものなのでは無いでしょうか? ただ万物に宿る精霊たち、日本風に言えば八百万(やおよろず)の神々は通常は万象の影に身を潜めているのかもしれません。そしてそれらの中にはハクやリンのようにわたしたちを支えて助けてくれる精霊たちが多く存在し、湯ババ、銭ババや顔なしのように全悪の判別が難しいものも多くいるのです。人間の想像力が精霊たちを生かし、精霊たちに人間が生かされるのは日本ならではと言えるかもしれませんが、西欧でもハローウィンに奇怪な面をつけて練り歩いたり妖精の存在を信じたりと、一神教が行き渡っても今なお万物に宿る神秘的な存在を感じる人々がいるからこそ、この作品は欧米でも多くの人を惹きつけるのだと思います。 【かわまり】さん [DVD(邦画)] 8点(2020-04-13 02:10:04) |
《改行表示》144.《ネタバレ》 中学生のときに見たときは何が面白いのかさっぱりでしたし、ジブリの作品の中でも最低だと思ってました。オッサンになってから見返すと、「名前が奪われ(その人の個性なんてどうでもいい)」「顔が無くても金さえ出せば人が群がってくる」「欲望をコントロール出来ない大人に溢れた」社会の表象なんだなあと腑に落ちる部分が多く面白かったです。仕事に就いてから見るべき作品だったんですね。千尋と琥珀川に感謝するところも愛おしさに溢れていてemotionalになりました。 一点だけ納得いかないのが豚にされてしまったお父さんとお母さんの描写です。欲望をコントロール出来ない大人の代表格のように描かれていますが、真面目に働いて子供を養っている大人までこういう描き方をするのはどうなのかなと。こういう大人達が頑張って働いて出来た便利な社会で宮崎監督も生きている訳でしょう?離島で映画を作っているならまだ分かりますが、恩恵を受けていながら斜に構えた視点でそれをdisるのは違うと思いました。 【なす】さん [インターネット(邦画)] 8点(2018-12-24 07:55:15) (良:2票) |
143.久しぶりに鑑賞しましたが、相変わらず登場人物のインパクト大で面白かったです。ナウシカやもののけ姫とは違って、いきなり普段の世界から違の世界へまぎれこむ展開なので、やや置いてきぼり感を感じてしまうのは仕方がないですが、世界観はいかにも日本的で自分好みです。もののけ姫とは違って暗いあやしい雰囲気ではないので、小さな子供でも怖がらずに安心して観れます。なんとなく「まんが日本昔話」をスタイリッシュにした感じとでもいうのでしょうか。一つだけ惜しいのは、すでに書かれている人もいるのですが、千尋の最初からラストへの成長過程の部分です。向こうの世界では目覚しく成長しているのですが、こちらの世界に戻ってきた途端最初の弱弱しいキャラに戻ってしまっていて、何だか今までの世界がすべて夢だったかのような印象を受けてしまいました。あの世界の登場人物が、現在の世界とリンクしていて、後日談的に「かまじいは学校の先生の化身だった」かのような話にしても面白いかもと勝手に思ったりもしました。 【金田一耕助】さん [DVD(邦画)] 8点(2017-09-25 15:02:52) |
《改行表示》142.《ネタバレ》 上映当時以来の鑑賞。 働き始めて分かる点が沢山。 こんなに世知辛いアニメだったとは。 働いていたら本当の名前を忘れてしまうってところは泣けてきた。 両親は強欲で役立たずのブタってところも過激だし。 それでいて水の中を走る列車や、どこに立ってるかもわからない建物はどれもどこかで見たことあるような懐かしさも感じさせる。 色々な要素が詰め込まれてちょっと一般ウケしずらい内容にもかかわらず興行収入第一位なんやね。 【CBパークビュー】さん [DVD(邦画)] 8点(2013-05-01 11:53:43) |
141.1回目の鑑賞時には、「前半はいいんだけど、後半が・・・」という印象でしたが、2回目は、最後まで楽しめました。最後の最後の解決が唐突なので、1回目にはこの印象が強かったんだろうなあ。もののけやポニョやハウルみたいなワケのわからない映画ではなく、しっかりとした、おとぎ話。いい作品だと思います。 【コウモリ】さん [地上波(邦画)] 8点(2013-03-01 21:48:49) |
《改行表示》140.《ネタバレ》 これは公開時に映画館で見たが、冒頭のトンネルの場面で近くにいた幼児が怖い怖いと言い出し、仕方なく母親が飲食物を持ったまま外に連れ出したのが記憶に残っている。大人なら怖くないと言いたいところだが、そのあと海の向こうから得体の知れない船が近づいて来る場面では、自分も怖くなって腰が浮いてしまった。やはり劇場で見る迫力は違う。 それで全編を見ると舞台設定の面白さは当然として、とにかく映像から受けるインパクトに圧倒される思いだったが、一方で話の意味がわからないため気持ちの収まりがつかなくなり、帰ってから解説本などを読みあさる結果になってしまった。監督が当時これを子どもに見せるために作った、と言っていたのも意味不明で、せっかくアニメとして純粋に面白いのだから、妙に小難しくして混乱させるのはやめてもらいたい、というのが初見時の実感だった。 しかし公開から時間が経つと、監督が何を言ったかというようなことはもうどうでもよくなり、大人も子どももそれぞれの立場から勝手に味わえばいいのだという気もして来た。今の目で見れば、年齢に対応した子どもの心境の変化のほか、子どもを取り巻く不健全な環境や、子どもから見た大人の複雑さといった内容が詰め込まれているように思われる。クモオヤジは茶化して「愛」などと言っていたが、初めて純粋に他人のために何かしたいと思いつめたのは大事なことだろうし、また本来一人の人物が持つ“理性”と“本能(我欲)”を分離した上で、それぞれがさらに多面性を持ったものとして外部に表出される描写は、分析的すぎるようでもあるが面白いといえる。 ほか特に海の映像が美しく、湯屋の廊下から見える海原や、海面を渡る電車から踏切に立つ人影が流れて見えるなどは非常に印象深い。こういうのはもう理屈など関係ない。 【かっぱ堰】さん [DVD(邦画)] 8点(2013-01-28 20:58:24) (良:1票) |
139.ジブリ版ふしぎの国のアリスのようで楽しいです。 【*まみこ*】さん [地上波(吹替)] 8点(2012-07-18 03:24:30) |
138.《ネタバレ》 個性的なキャラクター達が狭いはずの空間がめちゃくちゃ広く見えるくらいに元気いっぱいに動き回ります。この映画は千の成長を軸に物語が展開していき、それだけで子どもから大人まで十分に楽しめるファンタジー色の強い物語です。かわいらしいキャラクターもいっぱい出てきます。しかし、その一方で随所に散りばめられているエピソードには『個性』についてが大きなテーマとなっているような気がします。人?それぞれに個性があり、それは名前や外見ではなくその人?が本来持っているもので、名前や外見では決して判断してはいけないということ。しかし、名前や外見や属性で判断してしまうということ。また、どんな人?にもそれぞれの役割があり、活躍できる場所が必ずあるということ。そして、それを認めてくれる人が必ずいるということ。製作者側の意図はそうではないかもしれないけれども、今回何度目かの鑑賞で初めてそう気付かされたとき、鳥肌が立ちました。 【いっちぃ】さん [地上波(邦画)] 8点(2012-07-16 02:23:06) |
《改行表示》137.《ネタバレ》 確かに中盤からのストーリー展開に「?」となる部分はあるのですが、世界観の素晴らしさと画面の美しさ、そしてキャラクターの多彩さに最後まで上手にゴマカされて(イイ意味で)気持ちよく見終えることが出来ます(個人の感想です)。 そして相変わらずジブリの食事シーンは美味しそうで困る(笑)無人の屋台でお父さんの食べてたチキン的(しかしクラゲのように柔らかそう)なモノはなんなんだ?俺も食べたい(笑) 【幻覚@蛇プニョ】さん [地上波(邦画)] 8点(2012-07-11 09:37:56) |
《改行表示》136.《ネタバレ》 世界中で評価される傑作です。しかし「普通の10歳の女の子を描きたかった」と言い、怪しげなお風呂屋さんで働かせる監督。 あらためて思ったことを、ルパンのセリフを借りて言いましょう「このお~ロリコン監督!」 【ヒナタカ】さん [映画館(邦画)] 8点(2010-12-05 00:14:56) |
|
135.《ネタバレ》 この作品から宮崎駿は方針を変えたように思う。わざと説明不足にしているかのような脚本、一癖あるヒロインなど、「千と千尋」以前の作品とは全く違う。それでもこの映画がやはり宮崎駿の作品だ!!と思うのは、クライマックスの盛り上げ方。カオナシと電車に乗っていくシーン。あそこはジブリ史上No1といっても良い位のデキだと思う。誰が何をしたとかいう訳でもない。画的に派手というわけでもない。それでも、この映画を盛り上げる役割を十二分に果たしている、今までのどの映画とも違う宮崎駿の「らしさ」と「新境地、独自性」を同居させることに成功した素晴らしいクライマックスである。僕はジブリの中で一番この映画が好きだ。自信を持って言える。 【bolody】さん [地上波(邦画)] 8点(2010-08-07 21:59:08) |
《改行表示》134.ストーリーに引き込まれるような映画ではないけど 独特の雰囲気がありいつの間にかあの世界に嵌り込んでいた。やはりいい映画だと思いますね。 【TAKI】さん [地上波(吹替)] 8点(2009-06-06 19:47:15) |
【njld】さん [地上波(邦画)] 8点(2009-06-06 02:05:08) |
《改行表示》132.とくにテーマとかメッセージのようなものはなく、 思いつくままに奇妙な世界を描き出したという感じの内容。 筋のない思いつきの寄せ集めもここまで徹底してると大したものだ。 ハウルを先に観たけど、これもだいたい同じような作り方だと思う。 千尋がかわいいですのう。 そして千尋に変態的な執着を見せるカオナシ。 ファミリーアニメのふりしておいて、子供にはトラウマ級のグロさだと思うんだけどこの映画。 ジブリ作品がそれまでに描いてきた和やかで理想的な家族像とは異なる、 美しくもなく妙に冷めた、生々しい家族を描いていることも印象的。 【且】さん [地上波(邦画)] 8点(2009-06-06 00:24:06) |
131.世界観が好きで、雰囲気が好き。映画館で見ましたが、ラストに近づくにつれて、終わるのが惜しい、もっとこの世界にいたい!と思ってしまった映画です。ちょっと、?な所もあったけど、でもこの世界は素敵でした。 【まりんこ】さん [映画館(邦画)] 8点(2008-12-13 22:48:44) |
130.当時映画館で観た時は、意味やメッセージを探そうとして、それが見つからず観ていて理解もできず疲れてしまい評価がかなり低かったが、約10年ぶりに改めて観ると評価が一転、この映画はなかなか面白いのではないかと思えた。多分、あまり難しい事を考えず頭を空っぽにして観たのが良かったのかと思う。世界観や、映像の美しさ、キャラをただ観て、スーッと心にささやかな感動が入り込んできた。トトロも同じような評価だが、ジブリ作品は自分が年齢を重ね、家族ができて、改めて観ると全然違ってみえるのが不思議です。 【N.Y.L.L】さん [地上波(邦画)] 8点(2008-09-25 00:30:25) |
129.ハクの秘密が意外につまらなかったので、こんな評価だけど、よくできていたと思う。沢口靖子の声が良かった。 【みんな嫌い】さん [DVD(邦画)] 8点(2008-08-05 08:37:25) |
128.《ネタバレ》 この映画のストーリーは、生きる目的が見つからない少女が何となくソープランドに就職してしまい、なぜかそれなりに真面目に仕事をしていたが、幼少の頃を思い出して店を辞める、って解釈でいいんですよね? 【元】さん [映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2008-04-20 13:14:10) |
《改行表示》127.ちょっと詰め込みすぎ。 でも アニメ映画としては傑作と言えるのではないか。 良くも悪くも ジブリのアニメ(ラピュタのような)を期待していた 映画ファンには評価されないのもしかたがないかなと思う。 【しろタマネギ】さん [映画館(邦画)] 8点(2007-09-26 14:04:08) |
126.抽象画を見せられた感じがした。抽象画もどぎではないちゃんとした抽象画を見た気がした。親父の部屋には何故か、ゴッホやらピカソやらセザンヌなど色々な画家たちの本がありそれを見て、分けがわからなかったが特徴はあると思った。その人達にはこだわりがあって世間に挑戦したんだと思う。それらに人達の絵の系統のものとか今までなかったから世間から冷ややかな目を受けてもおかしくなかっただろう。やはり、画家に限らず、今で高評価を得ている巨匠たちは、なんらかの挑戦をしたのでろう。今までなかったことに挑戦するということはやはり勇気がいることだと思う。この作品は宮崎駿監督が映画界に挑戦した作品だと思う。監督は今まで、「ラピュタ」や「トトロ」などわかりやすくて万人受けする作品を撮ってきたので、その系統の作品を撮っていけば人気がでることは本人が一番わかっていたことだろう。しかし、あえてこのような難しく奥が深い映画を撮ったのは今までの評価、つまり世間に挑戦をしたのかもしれない。この作品で批判的な評価もあるし、高評価もある。これは監督自身、想定していたことだろうし、このように評価が分かれること自体にも、この作品の存在意義が絶対にあると思う。 【板橋島野&綿貫】さん [DVD(邦画)] 8点(2007-08-08 10:31:52) |