8.《ネタバレ》 赤道付近の密林から、京都駅構内、そして生命体内奥へと舞台を狭めていくように、
物語においても画面においても、拡がりよりも深さと垂直性が志向されている。
人間が怪獣を見上げる視点。その仰角もシリーズ中で最も大きく、
ほとんど真上を見るようなショットの多用によってスケール感が出されている。
渋谷のシークエンスでの、デフォルメ造型されたガメラの巨大な足が
キャメラの眼前に迫るショットのパースなどは絶品だ
。
ミニチュアセットでは貧相になりかねない「火炎」の合成への
果敢な挑戦と成功にも拍手したい。
炎や破片、逆巻く細かな雨滴のスペクタクルも圧倒的だ。
特撮映画は、記憶に残る物語など無くとも、
強烈に印象に残るショットさえあれば十分に勝ちと云って良い。
ラストの炎に包まれる京都の超ロングショットも、
まるで『関の彌太っぺ』のように感動的だ。