4.正直言ってラストまでは「おお、ベッド・ミドラーの声、結構ジャニスに近いなあ。でもジャニスそのものとはやっぱり違うし、ジャニスをモデルにしつつも「ローズ」という架空のロックスターにしたのは正解だな。」とか「それにしてもこれ、時代は60年代なのに音楽はあからさまに70年代後期の音だなあ。もうちっとサイケデリックな感じにしてほしかったなあ」とか「まあジャニスがモデルってことはオチは想像つくなあ。けっこうベタな流れだし」とか割と冷静に観てたんですが、エンドロールとともに静かに流れ出す「ローズ」を聴いた瞬間、不覚にもどばばーっと涙が・・・。この映画を進めてくれた女友達に言ったら「あたしも同じだった」と言ってた。むう、不思議。それにしてもローズ、そんなわがままかなあ?僕にはいわゆるスターという人種(最近はセレブなんてイヤらしい言い方をしてますね)がどんな気持ちかなんて想像するのも難しいことですが、彼女は(多分ジャニスもそうだったと思うけど)歌がとてつもなく上手くて、コミュニケーションがいまいち下手で淋しがり屋という以外はごくごく普通の女の人だったんだと思います。例えば、マドンナという人は音楽の才能だけでなく自己のマネジメント能力も優れている(ような気がする)けど、ローズはそんな風に器用にできなかったんですよ、きっと。で、ボロボロになって、クスリに手を出して、やっと理想の男性に会えても歌は捨てられなくて、ああいうことになったんじゃないでしょうか。60年代ってロックが急激に巨大化していく時期で、商業としてのきちんとした形がちゃんとできていなかったこともあってジャニスやジミ・ヘンドリックス、ジム・モリソンみたいな悲劇のスターを生み出しちゃったんだと思います。別に破滅的な面にあこがれる気持ちはありませんが、いわば彼らは時代の落とし子であったと同時に犠牲者でもあったわけで、その人生には共感しました。そういえば、ジャニス・ジョプリンはその名もズバリ「ジャニス」というドキュメント映画があった様な気がします。そっちも観てみたいなあ。