8.《ネタバレ》 十人といっても、中心になるのは半数の五人程度ですが。ブラック・ユーモアというよりは、シニカルなところがあってなかなかよかった。映像的にもモノクロを縦横に駆使した美しさに堪能させられました。男女関係よりも、「人と人との関係が希薄になった時代」というものがテーマのようで、それでいて風が多くの人と関わる仕事をさせてくれと懇願するあたり、皮肉が利いています。おそらく、当時よりも人間関係がさらに希薄になった現代ですが、それでも鑑賞に耐える作品になっていると思います。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2017-05-08 10:11:18) |
7.《ネタバレ》 しっかりと特徴を持ってインパクトある作品を生み出すあたり、永田の策士っぷりが遺憾無く発揮されている。ハイコントラストな映像、印象の強いオープニング、雨月物語とは異なるコミカルな存在の幽霊、キャラにハマっていてそれぞれ違った魅力を放つ女優陣、難しい役にぴたりとハマる船越英二・・・武器が多くそろっている。脚本も単なる恋愛痴話に収まっていない。どんなに本気でも熱っぽく語っても解り合えない人間の可笑しさ、隠しながらも誰もが強く持つ利己的な考え方、手に入れる―消えてもらうという正反対ながら似通った充足、人生の目的なんて考えずに仕事に没頭し充足を得てしまう男という生き物・・・。ここまでしっかりと生の人間を描き出している作品はなかなかない。ただ、30分くらいで全容が分かるにしては長すぎる。 【stroheim】さん [ビデオ(邦画)] 8点(2006-04-15 04:21:26) |
6.市川崑監督、この監督も日本映画を代表する名監督の一人で、晩年はいまひとつ精彩を欠いてはいたものの、やはりこの頃の市川崑監督の作品は面白いし、良いものが多い。この作品もそんな作品のひとつで、脚本の上手さとそれに何よりも女優陣が本当に素晴らしい!岸恵子の存在感、凄み、更に山本富士子の上手さは中でも際立ってます。今の日本映画との違いは本当に演技の出来るしっかりとした女優がいることで昔の日本映画を観ているともっとも男優にしてもそうだが、良い俳優が沢山いたということを改めて知ります。とにかくこの映画は俳優達の演技だけでも十分見るに値する作品です。モノクロの画面から伝わる雰囲気も良く、最後までだれることなく楽しめます。それにしても女の人って恐ろしいなあ!とこの映画を観て思った。 【青観】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2005-12-11 11:25:01) |
5.《ネタバレ》 見たのは6年くらい前。当時、市川崑の映画を見たのは「四十七人の刺客」に続いてこれが2本目。全体的にお洒落な雰囲気でかなり面白かった。山本富士子の使う「そうざんしょ」、「あら、あーた。」などの言葉まわしが印象的。岸恵子をこの映画で初めて見たんだけど、日本にこんなかっこいい女優がいたのかというくらいカッコよかった。中村玉緒は猫のようなイメージで今現在の姿が嘘のようである。岸田今日子も「学校の怪談2」でやっていたろくろ首の印象が強かったので、あまりの若さに驚くばかり。ラストの船越英二は可哀想すぎる。2002年に市川監督自らがリメークしたテレビドラマも見たけど、やはりこっちのほうが面白いと思う。 【イニシャルK】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2005-10-24 17:44:14) |
4.岸恵子や山本富士子のような美しく妖艶な女性は、現代でいうと存在するのだろうか。十人の女優の顔ぶれも豪華だが、伊丹十三なんかも中村玉緒の婚約者として出演している。 【キンセ】さん 8点(2003-10-25 02:21:05) |
3.計算し尽された照明、キャメラの角度、セットの配置など、申し分ない。市川のこだわりが感じられる、モノクロ映像美の極致。製作当時30歳にも満たない岸恵子、30を過ぎたばかりの山本富士子。この美しさと貫禄。観ていて飽きさせない展開と、女たちの腹の探りあい。痛快である。風を演じた船越もはまっていてよい。テレビ版も鑑賞したが、差は歴然である。昔の女優の方が、ずっと演技もしっかりしていて、精神的にもずっと大人なのだろう。浅野ゆう子や鈴木京香でも到底及ばないのは、育った地盤の違いが大きいから、その一言に尽きる。安易なテレビドラマでは女優は育たない。宮城まり子の役を小泉今日子が演じていたが、これは明らかなミスキャストだった。 【ノブ】さん 8点(2003-02-02 13:06:41) |
2.オリエント急行やOUTみたいな設定とでもいうのだろうか、たった一つのテーマに向かって皆突っ走っていく。でも女優の個性が各自かなり出ていて面白いしそのおかげでだれないで観れる。みんな昔は若かったんだなあ(笑)そういや最近リメイクされてたが、そっちの方はどうだったんだろう・・・ 【恥部@研】さん 8点(2002-12-12 14:50:27) |
1.観てて飽きない!!十人の女といっても実質活躍するのは数名なんですが。クールビューティーの岸恵子に、したたかな正妻役の山本富士子、キュート部門は中村玉緒(ホント可愛い。しかも甲高い声!!)そして知的なキャリアウーマンに岸田今日子!!世界昔話のナレーターのあの女優さんもおいしい役で登場してますしね。これといって派手な演出などは無くても、モノクロの良さを熟知したシーンの数々。これは中々の快作です。ラストで岸恵子が火事現場を横目に車を飛ばすシーン、あれには一体どんな意味が込められているのでしょうか?不思議です。 【さかQ】さん 8点(2002-04-10 06:34:01) |