1.《ネタバレ》 あるサイトで評判だったので期待して見ました。
よかったです。思うに、今、日本で連ドラみたいな形で放映されても、
ブレイクすると思うくらい脚本がすばらしいです。
じわじわとくるし、サスペンスみたいな謎解きもあるし、世界がきれい。
このきれいすぎるところを、嘘っぽいとか見たらだめだけど・・
限られた命の主人公の女性ケリーが、全然哀れとか狙ってるように見えない。
希望という形のないものを探すのですが、出くわす人らは希望のない人ばかり。
希望=生きがいなんだけど、その薄命の彼女が仕事以外に見つけたものは、
やはり形ある人間なんですね。形のない愛を持つ。
そのお相手が「世界の果て」の写真を見せるんだけど、
墓場と老人しか住まないという死の島。でもうつくしい。
回想シーンやわからないところもあるのですが、
この自分探しの謎解きが気になって見続けました。
その船員との恋は故郷へ彼が帰るということで、
恋は終わるかなと思いました。その前に出会ってたのが、
金城君演じる捜査屋です。船員を見送るまでは友達くらいの関係だったのに、
いなくなるとそばにいる人が大切で、特に時間も残っていない彼女にとっては
と思います。が、病院に運ばれ心配する彼に目線を合わせない。
彼女は彼を捨てて船員の故郷に走る。それは、船員のほうを
選んだのではないということがわかるから、ラストが読めそうなんだけど、
それでも応援してしまうくらい恋がきれいな愛に変わっていた。
・・ここからは書きませんが、泣けましたよ。ケリー・チャンの
キリッとした顔は、死をも恐れない自分の意味を探す清さ強さ。
金城武はまだ若くて近所のお兄さんみたいだったけど、人のよい表情と
子犬のような目は、反則泣かせ系置き去り<神様、もうすこしだけ>
を、思い出しました。あ、けどこっちの方が脚本は濃くないので。
ラストもよかった。コミカルで明るくて、泣き笑いができます。
それにしても哲学的な映画です。言葉がすごくよい。
この監督は脚本の才能がありますね。
バラ園のエピソードは現実主義だし、子供の絵(絵に顔がないのはわかるような)
も、セラピーとかで使われてそうだし。金城がつく嘘の必然性も、すごくわかる。
ケチのつけようがない良い映画なんですが、わかりにくいところと
淡々と運んでいくところも気になったので・・