1.《ネタバレ》 近未来の仮想国を舞台に、ヴァンパイアの悲哀と友情、愛を謳った青春群像邦画の佳作。
演技陣の質も高く、とりわけGackt氏の演技は必見もの。クセは強いが、その表現力と台詞回しは
本職でもやっていける程。HYDE氏の演技も中々のもの。ガクト氏を上回るクセの強さは、人に
よっては敬遠されるかもしれないが、一種独特の雰囲気があり、これを"味"として理解できるのは
演技に深い造形を寄せる人々だけだろう。ヴァンパイアという奇異な設定も、彼なら違和感がない(笑)
全員の滑らかな広東語も、相当練習したであろうと思わせる成果で素晴らしかった。
個人的に嬉しかったのは、Gacktの兄役「寺島 進」と刑事役「石橋 凌」
この映画のともすればファンタジックなストーリーの特異性に引きずられて
薄味になりそうな部分を、ふたりの重厚な演技と存在感によって手堅くまとめあげた。
ワン・リーホンと妹役のゼニー・クォックを知ったのも収穫。ゼニーの清楚な美しさと、演技力の高さは
筆舌に尽くしがたい。山本太郎も好演。カメラアングルと美術、音楽も"センス"が光る。
ストーリーは前半テンポ良く進む。山本扮するトシの絶命シーンには涙した。が、後半はいささか
ご都合主義的な展開(イーチェの突然の病)がありトーンダウン。唯一HYDE氏の回想シーンだけが印象に残った。