5.《ネタバレ》 「ファンタジー」は、もしかすると絶対的な目線で観賞すると限界があるのかもしれないです。
この作品、もちろん専門家からするといろいろと言いたくなることもあるかもしれませんが、私程度の知識で観賞するとかなりリアルに感じられます。
それは、潜水艦沈没からそれを救出するまでの流れだったり、軍と民間との目的意識の差異やそこから膨れ上がる確執であったり、また後半のハード・サスペンスだったりです。それに夫婦間の心のすれ違いもそうですね。
ラスト間近の、核弾頭回収(分解)のための深海へのダイブは、見ているほうが奈落へひきずりこまれそうなほどの迫力。本能的な恐怖を掻き立てられる演出で、この作品の中で一番恐怖を感じました。
とまあ、話が長くなりましたが、これが「人間」のリアルな世界。そのリアルを徹底して表現し、人間の限界を私達が感じるときに、突然現れるのが「エイリアン」達です。その出現のタイミングが本当に見事で、私達人間の限界を感じる世界をより明確に描くことで、相対的にエイリアンがもたらす「ファンタジー」の効果が絶大な効果を発揮しているんです。
深海で、「ここにいるよ。」と通信を終えて座り込むバッド。酸素は残り5分。普通に考えれば、ここからの逆転はありえないわけです。また、そう思わせるくらいのリアルさがこの作品にはあります。
ところが、そこで出てくるか、エイリアン。
そう、これこそが僕がファンタジーに求める究極の形のひとつなのです。