14.《ネタバレ》 復讐にとりつかれた女の狂気がまとわりつくような怖さで、サスペンス性はたっぷり。
こういう逆恨みが一番タチが悪くて気持ち悪い。
加害者の女は自分を襲った不幸に逆恨みでもしなければ精神が持たなかったのだろうが、反吐が出そう。
事件を起こした夫を責めるのではなく訴えた女だけを責めるのは、浮気した男を責めるより相手の女を責める思考回路に少し似ているのかも。
女の憎悪の対象になりやすいのは、男よりも女のようだ。
ペイトンがクレアとの会話で、夫を殺された報いがあることをわからないように宣言し、緊迫感を高める。
知的障碍者の黒人ソロモンが、初対面でペイトンの本性を見抜いたようなシーンがおもしろい。
世話になっている家族を守りたいソロモンとペイトンの闘いが見ごたえある。
ソロモンに性的虐待の疑いがかかるように仕掛けるペイトンの謀略が恐ろしい。
思わず頑張れソロモンと応援してしまうが、まんまと騙されて勘違いするクレアもなんだかなぁ…。
仕掛けられたワナに片っ端から面白いように引っかかってるけど、無防備だから仕方がないのか。
サプライズパーティが台無しになったときの空気はすごかった。
喘息の発作を利用するなど手段を選ばないのが憎しみの強さを表わす。
ペイトンは結局憎悪の対象であるクレアの子供には危害を加えなかったけど、その理由が自分の失った子供を投影したようだから切ない。
狙いはクレアから夫も子供もすべてを奪い取ること。
単純に片っ端から殺そうとしなかったことが、この作品がB級映画に留まらなかった所以か。
つらすぎる現実から逃避して、二人の子供の母になった気分でいるときの幸せそうな表情が印象的。
登場人物のキャラと細かい心理描写が実に巧みで、よくできた脚本のサスペンス映画。
ソロモンが解決のキーになるのは前半でわかってしまうが、出てきたときは待ってましたの心境で、ソロモンの作った柵の伏線が効いていた。
この手の映画はストレスがかかるのでどちらかというと苦手なのだが、その中では出色の出来栄えだった。