1.《ネタバレ》 柳楽くんの朴訥とした好青年演技と、沢尻さんのチャーミングな容姿が見事ですね。とても画になる二人だと見ていて思いました。それと二人が勤める「ガスステーション」の美術が素晴らしい。あんなオールドタイマーのGSが本当にあるならぜひ行ってみたいものです。 ストーリーとしては二人の恋愛模様を温かく見守れば見守るほど切なく侘しい結末がやってきます。「優しさだけじゃダメ」だとグランマが志郎を諭しますが、本当の恋を初めて知った志郎にとってはこの女心の不思議はまるで無限の宇宙のように捉えどころのないものだったのかもしれません。個人的には乃里子の元彼である矢野が志郎の部屋にやってきた直後、何事もなかったかのように明るい振る舞いを見せる乃里子と志郎の心情を思い量ると辛くなりますね。彼女はあの時もう心を決めていたのでしょうか…? 全体的に淡白でラストの乃里子の決断には賛否両論ありそうですが私はこの映画、好きです。映画のようには恋はうまく行かないけれど、若い二人の恋愛模様を見ている間、ひと時の幸せと胸の痛みを感じることができるはずです。“顔も見たくない”ような恋愛を経験した人であれば…(/_;)志郎たちの同年代よりもプラス10歳くらいの方々に観てほしいなって思います。 もし志郎と乃里子が入れ変わったラスト(映画とは逆に志郎のほうが他の女性と去っていく)になっていたなら、まったく違う印象になるでしょうね。女の子が去っていくからこそ、作品として成立する脚本なのでそう考えると男女間にはやはり見えない不思議な違いがあるものだと感じさせられた映画でした。