8.《ネタバレ》 元ネタに関しての知識は一切なし。
頭脳を1秒も使うことのない、くだらないバカ映画だろうと期待度ゼロで臨んだが、本作は見るに耐えないバカ映画ではなくて、素晴らしいバカ映画だった。
映画には常々“深み”が必要であると説いてきたが、本作には“深み”は一切要らない。
いい意味での“浅さ”をスティーヴン・ソマーズ監督は徹底的に追求してくれた。
最近のアメコミ作品は「ヒーローとしての苦悩」といった面に、ことさらスポットが当てられてしまい、肝心の映像やアクションがイマイチ楽しめないものが多かった。
本作はアメコミ作品ではないが、そういった面を排除して、徹底的にアクションやユニークな世界観を追求しているので、それを存分に堪能することができる。
頭脳を使うことのないバカ映画だが、「それで何が悪い!」という思い切りの良さを評価したいところ。
こういう映画も、ときには必要ではないか。
本作を楽しめるようなココロをまだ持っていることが少し嬉しかった。
本作は、我々が子ども時代に空想していたような世界が繰り広げられている。
訳の分からない兵器を巡って、訳の分からない組織同士が訳の分からない北極の基地で戦いを行う(往年の「007」シリーズの近代化したような感じ)。
メチャクチャな兵器が多数登場して、それらを使い壮絶な銃撃戦を行って、派手に人間やクルマや建物などが吹っ飛ぶ(クルマが電車に吹っ飛ばされたあとに軽症で這って出てくる辺りが最高)。
訳の分からない因縁をもった、訳の分からない名前の忍者が、訳の分からない誓いを立てて、訳の分からない戦いを行う(変な“東京”が良い)。
クスリのようなもので操作された恋人と戦いながら、愛のチカラで乗り越えたり、黒幕が意外な奴だったりというベタさ加減がさらにツボにハマる。
こういったことは、まさに人形を使って、我々が子ども時代に想像しながら遊んでいたような世界ではないか。
童心に返って、バカっぽい世界を楽しむことができた。
各キャラクターも自分の役割を認識しているかのように、ノリノリで“個性”を発揮している。
イ・ビョンホンも意外といい味を出していたのではないか。
それほど悪くはない悪役だったと思う。
ぜひとも“続編”を製作してもらいたいものだ。