3.《ネタバレ》 原作は高校卒業八年後からスタートし、現在と過去を交互に語っていく形式である。
映画版はこれを高校時代の現在進行形で進めていく形に改変したのが良かった。
それに伴って、相馬佐知子のキャラクターも新人記者に変更され、映画後半のストーリーも
斎藤嘉樹と中村蒼の間でのベンチ入り争いへと大きく変えられることになったが、こちらも
一〇八の煩悩という題材を発展させた脚色として、尚且つ
躍動的な練習シーンと二人の感情のぶつかり合いが相俟った見事な映画的アレンジである。
序盤で携帯電話を壊される1シーンを加えることで、クライマックスの雨の公衆電話シーンが
音響と縦構図が印象的な名場面となった。
打撃や守備の練習をする部員らの身のこなしも本格的で実にさまになっており、
強豪校のレギュラーメンバーという設定を説得力をもって提示している。
ラストの斎藤のずっこけをスローで処理してしまっているのがちょっと勿体ないが、その直後の笑顔はピカ一だ。