2.《ネタバレ》 いい映画でしたねえ・・・。1930年代、時代の暗い影、不況にもめげず何度挫折してもシャンソニア劇場を愛し、劇場の復活と成功を夢見て集まる人々。歌手として成功を掴み、劇場を去ったヒロインが愛する劇場のために戻ってきて、支配人も歌手も芸人もノーギャラで劇場の復活のため仲間と共に奮闘するというとても温かな人情噺です。不況、そして混沌とした現代の我々に対する応援歌でもあるように感じました。見事に再現されたパリの下町の石畳の街並、劇場の舞台裏の壁やカーテンの汚れ具合、夢に結集する歌手や芸人達、そして生き生きとした表情で舞台を見つめる観客達。そんな活気にあふれるパリの下町、そこに力強く生きる庶民、劇場の全てが愛おしく、そんな昔のパリの下町や劇場の描写にフランスが世界映画史に誇る名作「天井桟敷の人々」をちょっと思い出させられました。音楽や当時の雰囲気を醸し出す美しい映像も素晴らしかった。しかし、ハッピーエンド大好き人間の私としましては特にこんな映画には終盤の血生臭い展開は似合わないと思うのです。やっぱりこんな映画には大団円のハッピーエンドが似合います。また、恋に落ちた二人のその後も分からないまま終わりましたが、ちょっとこの二人のその後も観たかったなあ・・・。という不満が無いわけではないのですが、それでもそれを補って余りあるいい映画でした。