2.《ネタバレ》 万人におすすめはしないが、力作。
いささか長すぎるけれども…。
ソン・ガンホはコミカルな役どころで本領を発揮すると思うが、今回はダークな役柄を体当たりで演じた。文字通り体当たりの、尻解禁。
ソン・ガンホ演じる神父が「祈りが無力になった」と感じて、つまり信仰の危機に陥るがそれでも自殺は罪であるから自殺をすることができず、自殺願望を抱いて治験に参加、死ぬことができずに吸血鬼として生きながら死んでいるという「罰」を負わされる、というような話である。
これを神父が「罰」と受け取ったということはいえると思う。
「人を助けたい」と願っていたのに、他人から奪わないと存在できないものにされてしまったという、そのことは信仰が揺らいでいても消えてはいなかった彼にとっては「罰」である。
親に捨てられた男女が、崩壊した秩序の中で、他人から奪わなければ己が存在できないとしたときに、死を選ぶということは果たして「殉教」なのか「自殺」なのか。
そのことで、この先犠牲になるであろう他者を助けたとしても。
神父は最後に「地獄で会おう」と言っているから、これを「殉教」とは思っていないか、またはこれまでの悪行を指して地獄に落ちると言っているのか。
けれども確かなことは、「地獄」があると思っているということは、「神」が死んでいなかったということであり、彼は「与えられた罰」を認識していたということに、なるのだな。
そして、「罰」に対する彼なりの答えがラストで示されて、果たして「神」はそれにどう応えたのか。それは映画が終わったその先にある。