2.パスタを作り終えた小西真奈美は、部屋に入り込んで来る風を気にする素振りを見せて、窓をピシャリと閉め切ります。この瞬間、完全に俗世とは隔離された異空間が出来上がった、とも言えるでしょう。弟と姉ではなく、部屋の中に男一人に女一人。そうなることを刹那的に許された禁断の場と見て取れます。もし無人島に二人だけが‥のシチュエーションか。そうであるならば、その後の成り行きは必然と言えるでしょう。視線と視線が交錯し、互いに体を手繰り寄せ、唇と唇を重ね合わせる。三浦春馬のシャッター音は一枚一枚の服を剥ぎ取り、心の深層に侵入するエロさと危険性を感じました。ここで、車やバイクのエンジン音をわざわざ残すあたりは監督の意地の悪さか。そして、二度目の口ずけへと移る、このなんとも言えない程の焦れったい、間。これほど濃密な間は近年の邦画では類を見ないのは明らかではなかろうか。そして、時間は無常にも過ぎ去り、無邪気な子供の遊び声によって日常に連れ戻されたのであります。
ジッと被写体を捉え、シャッターを切る。写真を撮るという行為は視線と視線の交換ということには、ハッとした。ラスト、高橋洋が三浦春馬に見せる生の表情はとにかく感動的であるし、その後、流れる、再生を感じられるギターのBGMも素敵でした。喪に服す、榮倉奈々の黒のネイルが色づく日は近いのではなかろうか。