4.《ネタバレ》 期待せずに見たせいか非常に良かったです。数あるコレ系の映画(音楽の伝記系)の中では群を抜いて良くできた作品だったと思います。特筆すべきはアイク・ターナー(ローレンス・フィッシュバーン)の見事なまでのいやらしい演技でしょうか。いえ、厳密にはティナ(アンジェラ・バセット)の演技が良かったおかげで彼の良さも引き出されたのかもしれませんが、ティナの自信の無さと対比されるようにアイクの自意識過剰気味で嫌味な雰囲気が、、別の意味で本当に素晴らしかったです。とにかく本作が彼のベストアクトといえそうですが、超絶DV嫌味夫の役なのでローレンスとしては複雑な心境でしょう。マッシュルームカットや変なベルトやサングラスなども最高に良い雰囲気を醸し出していました。
ティナ・ターナーがまさかの仏教徒(創価学会)だったとは驚きました。まあそれだけ切羽詰まって精神の逃げ場を求めた結果でしょうから壮絶人生なのは間違いないです。また、芸名としてターナーという名前を使いたがったのも驚きました。あの世界では芸名が命とはいえ、この夫の名前を一生使う=生涯忘れることができないトラウマと共に生きるというのは本当に辛いことだと思う訳ですが。
私自身、世代的に少し若かったせいもあり、プラウドメアリーと愛の魔力しか知りませんでした。私の時代といえばやはり「マッド・マックス/サンダードーム」の準主役で強烈な印象を残したティナ・ターナーです。マッドマックスのせいで馬鹿にされがちな彼女ですが、本作を見ると違う感情が芽生えます。皆さん「ロックンロールの女王(半笑)」じゃないんですよ、ティナ・ターナーは敬うべき本物のロックシンガーなのです。