17.《ネタバレ》 ビリー「人間の感情は芸術品と同じ。偽造できる。まるで本物に見える。だが、偽りだ。」 小人症の女「231」 オールドマン「彼(機械人形製作者のヴォーカンソン)について卒論を書いた」 観終わってから考えると、あれこれ伏線が張り巡らされている事に感心しました。 考えてみると、真作を贋作と鑑定し、安価で仲間(ビリー)に落札させていたというのだから、バレれば失業どころか、刑務所送りになっても仕方がないです。 しかし、偏屈な主人公がようやく巡り合えた恋と、長年収集してきた絵画の双方を一度に失う幕切れは哀れでしたね。 「どっちか一方にしてやれよ オイ!」などと思ってしまいました。 一気に歳をとってしまったようでした。 まさか、主人公以外の主要登場人物が全員グルとはね‥‥‥ その点は、マッチスティック・メンにも似てるけど、あちらはまずまずのハッピーエンドでした。 個人的には、ハッピーエンドの方が好きですね。 しかし、ビリー一味は、あの盗んだ絵画、どうやって売りさばくのでしょうかね。 まぁ、オールドマンも盗難届けは出せないのだけどね。 【TerenParen】さん [インターネット(字幕)] 8点(2020-12-10 23:06:50) (良:2票) |
16.《ネタバレ》 ニューシネマパラダイスの監督の作品ということで、心温まるヒューマンドラマだと勝手に思い込んでいたら・・・(笑) でもやっぱりこれは、単純な犯罪映画じゃなくて、ヒューマンドラマだと思います。 絵が全部盗まれたシーンでは、「女に免疫のないオタクなおっちゃんが、若い娘に入れ込むとロクなことにならないよなぁ・・・」程度の感想しかありませんでしたが、でもラストまでのシーンで、印象は変わりました。肖像画の女性しか愛せず、生の女性とは目も合わせられないような男が、クレア(偽)のおかげでようやく、男として最高の悦びを得ることができます。最初は、哀れな様子を見てかわいそうと思いましたが、彼にとっては「The Best Offer」だったのでは? アガサ・クリスティの「地中海殺人事件」で、女優と一晩いい思いをした金持ちがめちゃ高い宝石をプレゼントした後で捨てられ、その男に言ったポワロの「男女の秘めごとに値をつけるのですか?」というセリフが、ふと頭に浮かびました。 盗まれた絵よりも、思い出されるのはクレアと愛し合った瞬間のことばかり。彼にとって失ってショックだったのは、絵ではなくてクレア。そのことに気付いただけでも、この人は幸せなのかも・・・。 草食系とか呼ばれてるアホ男子や、アニメキャラやフィギュアしか愛せないオタク君が、ナマの女を知ってしまったら、このおっちゃんと同じように、コロッと弄ばれてスッテンテンにされるんだろうなぁ・・・。 この映画は、そういう人に向けての警鐘?(笑) それから、「貞節は最も異常な性的倒錯」というフレーズには、激しく同意です♪ 【ramo】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2016-05-17 16:11:12) (良:1票) |
15.《ネタバレ》 初回はミステリーなのか恋愛映画なのかサッパリわからないというモヤモヤ感で、私たちをもてなしてくれる。観終わって、ルパンと不二子に狙われた被害者の話だと気付いて震えた。上手く行き過ぎだろうとは思うが、上手く行った事例だから映画になったのだと納得した。ロケ地の屋敷を見ながらバーで飲みたいです。 【DAIMETAL】さん [DVD(吹替)] 8点(2014-08-31 11:34:18) (良:1票) |
14.《ネタバレ》 まずは名優ジェフリー・ラッシュの時に凄味を見せる、時に弱味を見せる名演を堪能しました。ラッシュが演じる男は確かな目を持つ美術品の鑑定士として富を築いた男。その一方でずっと女性と縁が無く1人で生きてきた孤独な男でもある。彼の恋愛の相手は秘密の隠し部屋の壁一面に飾られた女性の肖像画。 そんな男が受けた、電話のみで決して顔を見せない女性からの鑑定の依頼。ここから静かにドラマが動き出します。どこにいるかも分らない依頼人。しかし、ついに依頼人の居所を突き止めるが、彼女がいる部屋の扉は開かない。次第に顔の無い依頼人に恋をしてしまう男。しかし鑑定士だけでなく、見る者にも声だけでその姿を見せない。 彼女は何者か?その容姿は?謎の依頼人の女性に興味が尽きないミステリアスな前半。鑑定士と見る者に少しずつ彼女の姿を見せ始める緊張感のある中盤から、後半の孤独な鑑定士に幸せが訪れるロマンス、といった展開の組み立ても見事。 しかし、トルナトーレがただ幸せなロマンスを撮るとも思えなかった。最後には思わぬ落とし穴が待ち受けています。彼が初めて恋した1人の女性。更にはビリーにロバートといった登場人物と鑑定士との関係。どんな贋作にも騙されなかった彼の、生身の人間の真贋の見極めの結末は・・・。最初はたった1つの部品。そこから少しずつ輪郭を現していく機械じかけの人形、屋敷の向かいのカフェの小人・・・鑑定士と依頼人の周囲にあるものや登場人物も印象に残る哀しき男の人間ドラマ。 【とらや】さん [映画館(字幕)] 8点(2013-12-20 21:05:15) (良:1票) |
13.《ネタバレ》 ※注意!壮絶にネタバレしています。未見の方は読んじゃダメ!絶対! おっさんが若い女からモテるわけねぇだろ!という、男にとって実に痛いところを突かれた加藤茶さんムービーでした。かく言う私も30代後半に突入し、最近では若い女性からほぼほぼ相手にされなくなっているわけですが、そんな中でたまに職場の20代の子から話しかけられると、「ありがてぇ、ありがてぇ」と恋愛乞食ぶりが全開となってしまうのです。彼氏の相談なんてされた日にゃ、「彼氏とうまくいっていない→私、寂しいんです→あなたに抱かれたい」と1億光年先にまで妄想が弾けるポジティブシンキングが止まりません。幸か不幸か私は大した資産を持っていないためハニートラップに掛けられるような器ではなく、今後もトラブルに巻き込まれることはないと思いますが、仮に仕掛けて来られたら1ミリ秒(©シャリバン)で落ちると思います。男ってバカね。 本作の主人公は美人画収集を唯一の心の安らぎとする筋金入りの二次元萌えであり、コミケで美少女ものの抱き枕とか買ってるオタクをじっくりコトコト煮込んだ上に72時間熟成させたような御仁。その童貞遍歴は妖精や魔法使いを超えて神の域に達しており、ネット界隈では「SEXしたら死ぬ」とまで言われているレベルです。実際、若い女性を抱いて廃人にまで追い込まれたのだから、ネットの説はあながち間違ってもいないようです。恐ろしや恐ろしや。 ジュゼッペ・トルナトーレの演出は絶好調であり、気難しいバルボッサが恋をしてどんどんみずみずしくなっていく様を実に丁寧に描写します。仮にオチなしのラブストーリーで終わってもそれなりの映画になるほどの完成度があるため、主人公と同様に観客もすっかり騙されてしまうのです。これは見事でした。 また、ミステリーものとしても上々の出来であり、オチを知ってから本編を見返すと、あらゆる要素に別の見方ができるという手の込んだ仕上がりとなっています。上質かつ下世話な素晴らしい映画でした。 【ザ・チャンバラ】さん [インターネット(字幕)] 8点(2016-09-13 18:17:04) |
12.《ネタバレ》 今流行りの?dtvターミナルというのを利用してテレビで鑑賞。 偉大な監督の映画って、晩年になると枯れちゃってつまらなかったり説教臭かったりするもんだと思ってましたが、これは良い意味で裏切られた。しかも、いつも泣かせてくれるような感動作しか撮らないイメージのトルナトーレ監督である。てっきり老人版「マレーナ」みたいな、そんな作品になると思っていましたよ。しかし、物語が進むにつれて何このミステリー的展開!絵画を題材にするとやっぱりそっちの方向に行きたくなっちゃうのかしら?しかし、先が読めない展開にハラハラドキドキ。重厚な映像と音楽が相まって凄く引き込まれた。人それぞれ色んな考え方のできる映画だと思った。私は、彼の最後の台詞を聞いて、きっと後悔はしていないんだなと感じ取る事ができたので、これはこれで良かったんだと思えた。 【ヴレア】さん [地上波(字幕)] 8点(2016-01-21 16:58:10) |
11.《ネタバレ》 色々な面で楽しめる映画ですね。外への恐怖症の女性を導くつもりが、肖像画の中の女性達から自分が女性を愛することへ解放されたと捕らえられなくもないし、それを仲間のビリー(自分の芸術を認められない)が詐欺を交えて仕組んだ(それとも孤独な友人にプレゼントした)とも言える。また、愛すらも偽れるのか・・その贋作の中に真実が隠されている・・とも言っている。面白い隠し絵が散ればめられた映画です。人は相手との愛の中に、真実を見つけて生きていくもの・・そのようなメッセージもありそうですね。最後にレストランで「一人ですか」とのウェーター問いに、「連れがいます」と応えることがでるようになったことは、悪いことですか。彼の「一人です」があたりまえであった人生が変わったことは、可哀相なことなのでしょうか。 【cogito】さん [DVD(字幕)] 8点(2015-12-06 12:17:17) |
10.《ネタバレ》 驚いた。観たことのない展開。 その謎めいた展開に秀逸さを感じた。監督を含め、製作陣の思惑通りに振り回された。騙し合いじゃないんだ(>_<) 映画はベットリと美しい映像にまみれている。そして誠実。ラストはエレガント&とても恐ろしいハッピーエンド。 一流の鑑定士ヴァージルオールドマン。有名なオークショニアでもある。初老。パートナーのビルと組んで価値のある作品を安く手に入れるというルール違反も。 そんなヴァージルの元に鑑定の依頼が。しかし…、依頼者に会えない。あの手この手で会おうとするが会えない。 その鑑定するものの中に、とんでもなく価値があるかもしれないものの破片が…。 極上ミステリサスペンス。だが思うこと1つ。遊びが足りない。テンポが一緒。ここにこの作品のさらなる可能性を感じる。 ジェフリーラッシュは魅力的だ。ぜひこのメンバーでもう一本。 【JF】さん [DVD(吹替)] 8点(2015-11-24 22:52:47) |
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9.《ネタバレ》 男の人って、自分の年や容姿を顧みないところがありますよね。男性は女性に騙され、年老いた女性は息子(オレオレ詐欺)に騙される。悲しい性です。画面が最初から最後まできれいでした。 【たぬき野郎】さん [DVD(吹替)] 8点(2015-06-19 20:09:28) |
8.《ネタバレ》 単純に言えば、ジジイになって若い女に夢中になると痛い目を見るということか。反省。総評としては、なかなか良かったです。 【kaaaz】さん [DVD(字幕)] 8点(2015-05-08 23:46:33) |
7.《ネタバレ》 いや~、面白かった……、と言っていいのかどうか……。とりあえず、鑑賞後、一緒に観た人と2時間くらい、ああだこうだと話せる映画です。個人的に、これだけ話し込んだのは「マルホランド・ドライブ」以来かな。 各所に伏線となるシーンがあり、全編に何か不穏で、不自然な臭いが漂っています。 これはどういうタイプの映画なのか、どう落とす映画なのか、観る側はずっと考えながら観ることになりますが、監督がトルナトーレであること、ドナルド・サザーランドがただの相棒役で出るわけがないという先入観も周波数合わせの邪魔をしてきます。 二次元の女性しか愛せなかったひねた老人がやっと生身の女性と結ばれる異色のラブ・ストーリー?と思いつつ観ていても、なんだかおかしい。終始モヤモヤしますが、映像はきれいだし、撮り方もいいので観ていてストレスがたまるほどではない。 終盤、絵が全部なくなっているのを目の当たりにしたときのジェフリー・ラッシュの一瞬の演技は秀逸。 現実を受け止められずプラハまで行ってしまう姿は、もう、かわいそうの一言。 そりゃ、60過ぎて初めて知った女性が娘ほど若い女で、それを一瞬で失った上、自分を騙した詐欺集団の一人ともなればおかしくもなりますね。詐欺集団の首謀者ドナルド・サザーランドは、自分を認めなかった恨みが根深かったのでしょうね。控えめな演技に最初は「こんなどうでもいい役をやるようになったか」と、まんまと騙されました(笑)。喫茶店で座っている小さい女性もいい味出してました。ラストシーンの喫茶店「ナイト&デイ」、海外旅行をしない私ですが、行ってみたくなりました。 【レイブンのかなづち】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2015-03-31 17:48:02) |
6.《ネタバレ》 ミステリー・オークション・オートマタ・カフェの小人・・・と脚本・演出が見事でぐいぐい引き込まれました。さすがに女をあの部屋に入れる時(目隠しがあざといw)にはオチに気づきましたが。2回目よりも断然切ない1回目だね。 【すたーちゃいるど】さん [ブルーレイ(字幕)] 8点(2015-03-16 21:41:53) |
5.《ネタバレ》 ミステリーとしての構成が素晴らしくて、物語にどんどん引き込まれていく。 疑り深い僕はどうせ騙されてるんでしょ?って第三者の立場から眺めてたけど、クレアが余りにもミステリアス過ぎて、いつの間にか感情移入してしまいましたよ。 主人公は食事の際にも手袋を外さないほど極度の潔癖症なのに絵画の女たちに触れるときだけは手袋を外すという演出が上手くて、クレアに触れるときにも素手だったのが印象的だった。 これは究極の愛を描いたラブストーリーだったんだなぁって納得したところで、大どんでん返し。 まあ、でも、古ぼけた絵のコレクションより、生身の女の価値の方が圧倒的に高いと思うので、これはこれで最高の思い出になったんじゃないでしょうか。 失恋の思い出だとしても、無いよりはあった方がいいと思うから。 とは言うものの、終盤の描写がなんとも切なくて胸が締め付けられる。 クレアが現れるのを待つラストシーンに哀愁が漂います。 【もとや】さん [DVD(吹替)] 8点(2015-02-25 15:40:08) |
4.オチの5分前あたりで気づいてしまった..オチに..映画としては、変化球..斬新なストーリー展開は楽しめた..が、冷静に振り返ると、全てがオチありき..物語として、あまりにも “出来すぎ” ..そこが、観終わった後、しばらくすると、冷めてしまう..唸るような、鮮やかさ、納得感、にはほど遠い..残念... 【コナンが一番】さん [DVD(字幕)] 8点(2015-02-07 19:58:54) |
3.《ネタバレ》 面白かったです。そして切なかったです。傲慢不遜の紳士が唯一心許した人たちに裏切られて、残ったのは老いのみ。真贋にかけた人生で最後に贋作をつかまされる。ちょっとラストが寂しさがあるんで、むしろオールドマン氏が自嘲気味に笑ってしめてくれたらよかった気も。後味的に少しいまいちなところがあったんで。マッチスティックメンと似たテイストだけどマッチの方は後味がハートフルだったんで。あの豪勢な絵画部屋を見たとき、なんか結末はなんとなく予想できましたし、人間関係のフリもサプライズとしてよく効いていた。ロケーションも素晴らしいし、美術品の意匠も素晴らしく自分がその世界に入り込んだかのようでした。オールドマン氏のキャラも観客を引き付けるのに十分でした。どことなく、日本の漫画「ギャラリーフェイク」の藤田の連想してました。秀作です。 【タッチッチ】さん [ブルーレイ(吹替)] 8点(2014-11-30 16:56:09) |
2.《ネタバレ》 ミステリー映画ではなかったのね。 途中から、ジャック・ニコルソンの「恋愛小説家」の別バージョンなのかな~と思って観てたら違ってた。 クライマックスで、主人公がチンピラにやられるシーンのとき、「わ~安直な展開だなー」と思ったけど、おそらくは仕組まれてたのね、と理解しました。 画面は素晴らしく綺麗でよくできた映画ですけど、上記「恋愛小説家」と違いダークな結末でちょっと悲しかった。が、製作国がイタリアと知ってみょーに納得した。 引きこもり彼女が、後半でもう少し結末への伏線要素を見せてくれれば、納得できたけど、急展開しすぎでちょっと減点。(それとも伏線を見逃したかな~~?) とここまで書いて、思い出した。ラブロマンスがほぼ成就したよな~と思いつつ映画の残り時間がまだ結構あるよな~(DVDの時間ゲージが気になって)このあとどこに話をころがすんだろ~か?と思ったのだ。もう少しカンがよければ気づいたかな? 【uoooo】さん [DVD(吹替)] 8点(2014-10-26 23:44:11) |
1.ううむ。これは、緻密かつ壮大な「騙し絵」みたいな映画、といいましょうか。常々、面白い映画はネタバレしていても面白いはずだ、と思っておりますが、本作に限っては、予備知識なしに見た方がゼッタイ面白いと思います。なので、いつもは平気でネタバレレビューを書いておりますが、今回は、ネタバレしないよう気を付けてみます。とにもかくにも、ジェフリー・ラッシュが素晴らしいのです。偏屈で高慢・不遜な爺を見事に演じています。そして全編を覆い尽くす、怪しく不穏な空気。これがどんなシーンであっても見ている者を不安にさせます。全てを知ってしまうと、確かにこの「騙し絵」は色褪せて見えるようにも思われますが、これは2度見、3度見で味わいが増すとの、もっぱらのウワサ。このウワサ、信じます? 私は信じてみようかと思っています、今のところ。 【すねこすり】さん [映画館(字幕)] 8点(2014-01-25 01:12:30) |