1.ホラー映画というのももう随分作られてきたし、モンスターの造形をはっきりさせない、あるいははっきり見せないことによる恐怖心の増幅術なんてもう完全に出尽くしただろうと思ってたんですが、この映画のオープニングを観て「うわ~、やられた!その手があったか!」と脱帽。 “幼い子供達の手による拙い絵”…いや~、もうね、とにかく観ていただければ分かるんですが、これがメチャメチャ効果絶大なんですわ。子供達に混じって何だか明らかに“変”な奴が映ってるんですわ。「この子達はこんな奴と一緒に5年間も何してたんだろう…」と考えただけでもうゾ~ッとするんですわ(わーわーうるさいですか?w)。オープニングが終わった頃にはもうすっかり掴みはオーケー状態。一旦こうなってしまったら後は製作者の思う壺。以降は徹底して直接的な描写を避けるんです。「はっきりさせない、見せない」という心理効果をこれでもか!ってぐらいに効果的に使ってきます。いやもう巧いのなんのって。映画センスありまくり。驚きました。この新人監督さん只者じゃないですね。まるでベテラン監督みたいに映画を知っている。今まで何してた人なんだろ。本当にズブの素人からいきなりこれ作ったんなら「天才」以外に言葉が見当たらないな。無理やり表現するなら「エイリアンとリングを合体させたような怖さ」とでも言いましょうか。いや、こんなんじゃダメだな~、私では文才がなさ過ぎて上手く表現できないや…。もうとにかくみなさん観てください。それもできれば二回観てください。ここ十年ぐらいでは最高のホラー映画だと思いますんで。 《追加レビュー》新人監督さんを褒めちぎりましたが、よく見たら製作はギレルモ・デル・トロだったんですね(早よ気付け!w)。但しどうでしょうか。はっきりとギレルモっぽいなと思えたのはラスト10分程だけですし、しかも皮肉なことに私にとってはその10分が一番つまんなかったんですよね。この映画の核である3分の2ぐらいの部分が誰の力量によるものなのかがいまいち良くわかんないんですが。あと、エイリアンよりもプレデターっぽいかなと思った部分もかなりありました。ある意味では半透明的な存在ですからね。恐怖の生み出し方もエイリアン的でもあるがプレデター的な怖さでもあるなと思えました。狂人という設定にしたのも賢い。適度にいい加減な行動をとってくるので常に油断がならない。