3.《ネタバレ》 スタント指導出身の監督さんらしく、魅せるアクションに力を注ぎ、
そして殺し屋の掟、その世界観のディテールにもとことんこだわった快作!
「マトリックス」シリーズ以降、ヒット作に恵まれなかったキアヌでしたが、
本作で見事復活の兆しを見せはじめましたね。
妻の形であるワンちゃんを殺され、一度は足を洗った裏稼業の世界に舞い戻ってきたジョン。
伝説の殺し屋のわりには、そこまで無敵?とは思えない銃さばきや格闘術。
そもそも強盗に車を盗まれる時点でアウトだし、ワンちゃんと一緒に殺されてもおかしくなかった。
また、敵のアジトに乗り込む際や機関銃一丁で単身正面から突っ込みなど決して頭が良いとは言えない。
むしろ単細胞か?いやぁ殺し屋は頭がキレてないとやってけないでしょーに。
しかしながら、それはしゃーないかね。
復讐が物語の本筋であるものの、冒頭述べた通り、魅せるアクション、裏の世界観を披露することが大前提のため、
野暮ったいツッコミはこの際無しでいきましょう。
とはいえ、生前の妻の動画をみる湿っぽい終盤シーンをオープニングにもってくるんじゃなく、
ここはやはり、殺し屋稼業から足を洗うために行った最後の仕事を持ってくるべきじゃなかったかな。
それこそ、現役バリバリの凄腕を見せて、バッサバッサを苦戦することなくやり遂げる伝説の殺し屋らしい姿を
最初にみせるべき。その際に旧知の仲である殺し屋(ウィレム・デフォー)との関係性を示しておけば、
物語中盤の裏切りかと思わせるミスリードやジョンを救うシーンがもっと活きたはず。
演出面や脚本でもう少し捻りがあれば、我々観客を冒頭からもっともっと
映画の世界へのめり込ませることができたと思うと惜しい。
ただし、尺も丁度よくテンポもよい、キャラは個性的でライティングやカメラワークも良い。
エンタテイメントとしては充分次第点といえます。
続編に期待します。