1.スターリンの死後巻き起こったフルシチョフとベリヤの権力抗争とソビエトの権力中枢の混乱を茶化して見せるブラックコメディ。
スターリンの死の直前。コンサートとその録音を巡る冒頭からよく出来ています。
その恐怖政治がいかに市民生活の隅々にまで踏み込んでいたかがよく分かります。
当然、その話自体にコメディ的要素は無いのですが、当時の権力中枢にいた人物を演じる主要キャストの演技が素晴らしく、
全編を通して浮足立ったような軽さと、こういう政治ドラマに必須の重みや凄味を全員が見事に両立させてみせる。
終盤、ベリヤが失脚し処刑されるくだりでは、それまでの軽い空気は一変していきますが、
失脚から処刑までを一気に見せる、非常に嫌な空気が漂うその時間帯もまた見応えがある。
本作はロシアでは上映禁止になったという。
製作サイドの意図がどこにあったのかは分かりませんが、それも織り込み済みだったのでしょうか。