1.《ネタバレ》 本作もイーストウッド御大らしく、そう遠くない過去のアメリカで起こった史実を
淡々と、お涙頂戴にもならず、しかし手堅くきっちりと仕上げられた良作でした。
それでいてドラマ、サスペンスとしてぐいぐい見る者を作品の世界に引き込んでいく力強さがある。
多くの市民を爆弾テロから救った英雄が、あっという間にテロの犯人の如く仕立て上げられていく。
強引な捜査手法やメディアの在り方について考えさせられますが、
それだけに、この騒動のきっかけを作った女性記者が終盤になってフェードアウトしていったことは残念。
この記者が実際に騒動の最終盤に目立った動きを見せていなかったなら仕方がないところですが。
鑑賞中は腹立たしい展開続きの作品でしたが、
「僕が犯人だという証拠は何も無いのだね?では、もう帰らせてもらおう。」
何も言い返せず黙って見送るしかないFBIの捜査官と、席を立つジュエルと弁護士ブライアント。
終盤、最後にFBIの捜査官と対峙するこのシーンと2人が再会するラストが見る者の溜飲を下げてくれる。
本作もまた、イーストウッドらしい作品であると思います。
キャシー・ベイツは本作でアカデミー賞にノミネートされているようですが、
それも納得の素晴らしい演技を見せてもらいました。