1.全くもってのおとぎ話であり、そこに徹した中田監督はやはり映画人だ。眠ったままの少女と彼女にキスをする少年。病院の廊下を歩く、病院への丘を駆け上がる、授業を終えると階段を駆け下りる、と静なる少女に対し、少年は常に動だ。少女の静が少年を動へ動へと導く。その静なる少女が5日間だけ動へと反転することにより、動と動とが衝突し動がさらに加速していく。そして再び少女は静へ。遊園地で少女がスカートに風を孕みながらくるくると周る、少女と少年か手を取り合いくるくると回る、その俯瞰ショットの円運動が傘と雨に彩られ見事だ。この少年にとって円の中心は常に少女であり、たった5日間が永遠となる純愛を描いた中田秀夫に、たった100分間による映画への永遠の愛が見えた。