27.《ネタバレ》 「そこにいなかった男」“The Man Who Wasn’t There”という原題がすべてを説明している。毎日実直に仕事をしているけれど、本当は「そこにいなかった男」の話。じゃあ、例の“虹を掴む男”ウォルター・ミティのように白昼夢の中にいるのかというと、夢想家の素質もなさそうだ。現実の生活でも夢想の生活でも「そこにいない」男。こういう男が行動を起こすと、世界は妙な方向に脱線してしまう。儲け話に気持ちが動いて恐喝を試みると、あっさりバレる。どころか、世界はもっとフツーにタガが外れる。この男、とにかく「そこにいない」方がいいわけだ。清楚な(?)娘の凡庸なピアノ演奏に入れ込むあたり、この男の隅におけない馬鹿さ加減をくっきり表して、かなり痛い。(おまえ、近所の女子高生の未来に勝手な夢を描くなよ。どこにもいないおまえの居場所がそこにはある、ってわけないだろうが。でもスカーレット・ヨハンソンが期待をハズしてくるところは、おおそう来たか、って大笑い。案外ああいうもんなんだよな。)ビリー・ボブ・ソーントンが分別ありげな渋い初老の男なので、痛さもひとしお。所詮は「そこにいない男」なんだから、世界に参加しないでいりゃいいのに、分際を守っていられない。これが凡人の本当のみじめさ。みんな「そこにいない」ヒトに過ぎないのに「何かしたい」ってあがく。死刑になるとき、自分の人生の断片が全部つながったと言っているから、ムチャした甲斐はあったということなのか。でも、どこか無理矢理な感じが残るのも事実。ということで、初老の男としては、おもしろ怖く観て、かなり身につまされたなあ。 【哲学者】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2005-05-04 18:59:13) (良:1票) |
26.《ネタバレ》 寡黙な主人公がナレーターを兼ねて、ナレーションも寡黙気味だ。弁護士を擁して、真犯人たるナレーターの側から真犯人を捜すかのようなスタイルをとっており、当たり前のことだが、何も判明しはしないし、とくべつ名案が浮上するわけでもない。アイロニカルなすべてがいいのは、いつも通りのコーエン兄弟。 【ひと3】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2015-04-03 08:32:59) |
25.コーエン兄弟でなければ作れない世界だ!ビリー・ボブ・ソートン演じる主人公の何とも哀れな人生をまるで楽しんでいるかのようなコーエン兄弟の撮り方、本当にコーエン兄弟独特のその世界、観ていて楽しい。そして観終わった後に残るそのインパクトの強さ、何て言うのかなあ?これほど好き嫌いの分かれる監督はいないのではないかと思う。私は好きです。 【青観】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-07-19 21:55:40) |
24.どうしてもB級っぽく創ろうとするところがキュートだと思う。最初にDVDのカラー版で見たのは、返す返すも情けない。 【みんな嫌い】さん [DVD(字幕)] 8点(2004-10-24 17:26:16) |
23.冒頭からぐいぐいとスクリーンの中に引き込まれてしまった。ナレーションで物語を進行するやり方は陳腐になりやすいのにまったくそういうことがなく、ソーントンは突っ立ってるだけなのに強烈な存在感。彼の目力はすごい。物語は予想できない方向にどんどん転がっていくが、最後は因果応報というのだろうか。しかしこのようなストーリーを紡ぎ出せるコーエン兄弟というのは何者なのだろうかと興味が湧く。彩度を抑えたスタイリッシュな映像も非常にレベルが高い。コーエン兄弟の映画は脚本だけでなく技術面でも手抜きが全く無い。 【ロイ・ニアリー】さん 8点(2004-07-27 07:36:19) |
22.淡々として地味な作風なんだけど、最後まで見れてしまう映画でした。ビリーさん、無口で渋くてかっこいいです。床屋のおやじが主人公って設定もなかなか良いと思いました。 |
21.ソーントンのタバコばかり吸っていて無口で何をしゃべっているのか分からないけど、メチャクチャ渋くて独特の表情が印象的だった。 確かに人生は見つめようとすればするほど見えにくいものなのかもしれない。 妻がいなくなって初めてその存在感、空虚感を感じる。 人生の全体像を見ることができればいいのかもしれないが、そんなことは出来ない。 しかし髪が自然と伸びていくのと同じように人生もおかしくも不思議に進んでいく。 コーエン兄弟らしく、人生が転がっていくストーリーでもありながら、人生について静かに深く見つめた、いい映画に仕上がっている。 |
20.面白い映画ですね!数奇な男の人生の話なんですけど、うまくまとまっていると思います。表情をあまり変えない男の姿に、なぜか好感が持てました。 【Φ’s】さん 8点(2004-05-04 18:33:29) |
19.こういう、身につまされて笑えない滑稽さ、みたいなのを不気味な話に仕立てるのが、コーエン兄弟はほんとに上手ですね。ものすごくグロテスクなのに、ものすごく詩的で、下手したら神話的とさえいえるぐらいな描写をしながら、なおかつ、小馬鹿にされてるような、笑うぎりぎりで脇腹をくすぐられてるような感じがたまらないです。この余裕が多分だめな人はだめなんでしょうけれど、僕にはいつも他の誰も与えてくれない、人生についてのある視点、みたいなものを見せてくれてるような気がして、すごく心地よかったり、逆に生きてる事自体の居心地の悪さを思い出させてくれたりして彼らの映画から離れられません。それになによりも、ビリー・ボブ・ソーントンって、ほんと何をしてても、いや、何もせずに画面に居るだけで、なんだか何時間でもだまって観ていられる、そういう人なんですよね、僕にとっては。それにカメラ!ディーキンス!素晴らしく美しい!震えるほど美しいカットが満載です!救いの無い悲劇を喜劇としてみせられる、その凄みを感じるいい映画だと思います。 【am】さん 8点(2004-03-11 02:06:32) |
18.戦勝後の古き良き時代を「虚栄」の時代と皮肉り、テーマはおそらく虚栄が生み出す「偽りに満ちた現実」だろうか。しゃべらない主人公、妻の不倫、愛の無い夫婦生活、不倫相手の武勇伝、セールスマンのカツラ、さらには妻の逮捕、UFO騒動のロズウェル事件、極めつけは唯一の癒しの対象である清楚な女子高生の真実。これら偽りだらけの現実をまさにグレー色で綴った、悲劇なのにどこか滑稽な犯罪ドラマである。脚本の緻密さと遊び心溢れる演出に浸れる逸品。コーエン兄弟はホントに「映画」を楽しんでいる。 【R&A】さん 8点(2003-12-25 11:49:31) |
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17.《ネタバレ》 2/3位までは、演出や演技に雲泥の差はあるけど2時間ドラマみたいな展開だなぁ、とはいえ、それでここまで見せるのは凄いな、と思ってみていたら、まだまだ続きがあって。。。。 う~ん、満腹させていただきました。見る側の気分が乗らないとツライかもしれないけど、今回は、波長も合ったということで8点献上。 【かもすけ】さん 8点(2003-12-14 12:54:28) |
16.無口で無表情な床屋のエド。でも内面には凶暴性を持っている人。ビリー・ボブ・ソーントンにピッタリだと思う。とっても皮肉で滑稽な作品でした。ジェームズ・ガンドルフィーニは期待通り粗暴でねちっこいやつ。予想外の展開でラストになるのですが、この予想してないことが次々と起こるというのが、この作品の面白いところでした。その結果になった経緯、これが面白いの。スタイリッシュな良質のブラックコメディだと思う。コーエン兄弟の作品は全て観ているわけではないけど、キャスティングも見事ですね。 【envy】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2003-11-26 01:04:45) |
【STYX21】さん 8点(2003-11-13 22:04:00) |
14.とにかくビリー・ボブ・ソートンが渋いしかっこいい!テンポ的にはよくないと思うのだが、まったくストレスも感じないし、次第にはストーリーに入り込んじゃっている自分がいた。それだけ面白いんだなって感じた。特にモノクロが味がでていてお薦めです。 【miha】さん 8点(2003-11-11 15:58:53) |
13.淡々としているのに先の見えない展開で楽しめた。ビリー・ボブ・ソーントンの冷めた表情が良い。カラーで見てしまったので今度はモノクロで見たい! 【ジョナサン★】さん 8点(2003-11-03 16:42:56) |
12.モノクロで正解!モノクロがストーリーを物語っています。ユルーイ感じがまたGOOD。ビリー・ボブ・ソーントンの演技、好きです! |
11.《ネタバレ》 ラストまできて、「あぁ、なるほど!」と思いました。先の読めない展開。台詞も意表をついてました。コーエン兄弟はこの作品を楽しんで作ったんじゃないか、というくらい意表をついて意表をついての繰り返し。よく道を逸れず(むしろ逸れっぱなし?)あのラストへたどり着いたな、と思います。 【もちもちば】さん 8点(2003-07-15 00:36:16) |
10.ストーリー展開も良い。フランス映画っぽいオシャレな印象を受けました。ただ、ベートーベン「ソナタ悲愴」がちょっとクドク思ってしまい-2です。 【フィャニ子】さん 8点(2003-07-04 00:01:41) |
9.いつもながらキャスティングの妙。テネシー・ウィリアムズそっくりのゲイのおっさんがいい。アメリカ人はさぞかし笑っただろうな。 【じゅんのすけ】さん 8点(2003-06-01 18:58:35) |
8.よかった。ほとんどの人が身近に思ったり感じたりすることをいざ実行に移すととんでもない事態に発展していくという皮肉が利いてるし、ビリー・ボブ・ソーントンの親父がたまらなくいい。なんだか不思議と感動してきた映画だった。 【ぽんた】さん 8点(2003-05-18 03:42:46) |