8.《ネタバレ》 この頃にもなると、渥美清も、寅さん役がキツくなってきてたのか、派手なパフォーマンスが見られなくなってきてますが、その点、本作は、「寅さんが僧侶見習いになっちゃう」という設定が実に秀逸。あんまり動かずに笑いをとる、ということに成功してます。博の父・ウン一郎氏の墓参りに来た寅さん、墓石にシンミリ語りかけ、ホロリとさせる場面ですが、その後がイケナイ。ひょんなことからナマグサ坊主と意気投合、しかも坊主の娘が美人とくれば、もう寺にすっかり居座ってしまい、坊主の代理で大活躍。諏訪家の法事に、坊さんに付いてノコノコやってきちゃう。これが可笑しいのなんの。博が実兄を「兄さん」と呼んだのに寅さんがウッカリ返事しちゃうシーンには、大笑いしてしまいました。これと似た場面がもうひとつ。本物の坊さんと共に諏訪家にやってきた僧侶姿の寅さんに、「おじさんだ!」と満男だけが気付く場面があるが・・・これは本当に寅さんを見て「おじさんだ」とつぶやいたのか?もしかして、ホンモノ僧侶役の松村達雄の方を見て、「あ、2代目竜造おじちゃんだ」と指摘したのではなかろーか?(笑)。ってか、てめーだって2代目満男だろうが、と、つい、つっこんでしまう。←こんなことばっかし言ってると、それこそ竹下景子に「そこまで考えなくても」と突っ込まれそうですが(笑)。ところで、この映画の物語、実に何も解決していないお話であります。諏訪家の遺産騒動に始まり、松村坊さんも息子とギクシャク。息子・中井貴一は勘当されたまま、東京で冴えない暮らしを続け、杉田かおるとの長距離恋愛もこの先どうなることやら(いずれ結婚しても飛び蹴りくらうだけ?)。そんな中で比較的うまくいきそうなのが、寅さんと竹下景子の関係。いやいやそう上手くはいくまい、しかししかし・・・と宙ぶらりんのまま、別れの柴又駅。ここでの2人の関係の微妙な揺れ動きは、まさにサスペンス映画と言えそうな程のドキドキ感、しかしやがて電車が着き、彼女は乗り込み、ドアが閉まり、あっさり電車は去っていく! この無情さ! 哀しい別れに、おもわず「あー」とつぶやいてしまいました。一方、諏訪家の騒動も、亡父の生家を売り払うという現実的な選択に終結しますが、それを補うごとく、「なんと博が、遺産をタコ社長の工場に投資しちゃう」という、現実離れしたファンタジックなオチ。うーむ、博、次期社長の座を狙っているのか? 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2006-09-25 22:37:10) (笑:4票) |
7.《ネタバレ》 もうこれは、竹下景子様に尽きます。作品世界への適合度、寅さん好みの人物造形、渥美清との演技と掛け合いの相性、すべてがスーパーマドンナともいうべき魅力を発散しています。見る前からある程度想像はできていましたが、予想以上でした。そして、とらやで寅の袖を引いて囁く(というか口走る)あの一言のインパクト、さらに柴又駅の別れのシーンの、少ない台詞に込められた膨大な情報量。前半、とらやシーンを大幅にカットして投入された旅先での丁寧な積み重ねが、凝縮されて生きています。●備中高梁というところも、程良く観光地、程良く田舎で、またこの作品の舞台に合ってるんだなあ。 【Olias】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2020-11-19 00:40:07) (良:2票) |
6.町の人たちがごく素直に、寅が入り婿になると決めてるとこがいい。杉田かおるとの会話でポロッと出て「そうじゃないんですかあ」なんて感じおかしかった。とらやを離れると寅は普通の大人に見えてるんだ、ときには本人以上に見えてることもある。これけっこうシリーズのポイントなんじゃないか。寅がとらやに帰ってくるのは、無力な駄目男に戻ってやすらうために帰ってくるってこともあるんじゃないか。このギリギリのところでの臆病に共感してしまうなあ。今回はマドンナがかなり積極的に意思表示してた。出戻り娘の寂しさという逃げ道を用意してあるのが山田の丁寧さ。そしてまた父と弟との緩衝材の役割りに戻っていくことになるのか。緩衝材というより、男二人がうまく彼女を使ってコミュニケートする仕組みを三人で納得している感じもある。日本の家における女性の役割り。このシリーズで下校シーンは女生徒が多い。いかにも「家」に帰っていくという感じが強いからだろう。男生徒だとフラフラ寄り道して寅になってしまったりするからだ。 【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 8点(2013-01-05 10:23:59) (良:2票) |
5.マドンナは竹下景子さん。助演の中井さんと杉田さんのカップルも良かった。寅さんがお寺を手伝う前半は非常に笑えるし、とらや夫妻の若かりし日の恋バナやタコ社長からヒロシ実家騒動のさくら家話も有り、後半はいろいろしっとり。そしてあのラスト。なんとも寅さんらしい。シリーズ中でもバランスのとれた大好きな作品。 【movie海馬】さん [地上波(邦画)] 8点(2012-11-17 23:50:30) |
4.博の親父さんのお墓参りに来て、寺に居座り、住職の代わりになり、法事での騒動という一連の流れは、強引な展開にもかかわらず笑いの数珠繋ぎで、マンネリ感を脱した余裕が感じられる。けっこう本気の朋子にあっさりケリをつけてしまう寅さんにも余裕が感じられる。悲壮感がないのは頭では理解しているからか。わかっちゃいるけど惚れてしまうという感じか。 【パセリセージ】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2006-09-24 21:26:19) |
3.《ネタバレ》 中井喜一と杉田かおるの恋は盲目の「熱い恋」に対し、寅さんの結婚した場合の将来をみす越した「大人の恋」の対比がにくい。更に別れを告げる寅さん、朋子、さくらの三人のシーンでのさくらと二人の間の微妙な距離、普通だったらさくらはトイレに行くなど気をきかすはずだが、聞こえるか聞こえないかの距離にいる。いい年した兄の恋のなりいきがどうしても気になってしまうところ。電車が出た後の二人の会話、旧作ではさくらが失恋で痛々しい寅さんをなぐさめるのが定番で名シーンが多いが、今回は心配ご無用とばかりにさくらをあしらう、兄ちゃんぶりをはっきするたのもしい寅さんがまたよい。渥美清、倍賞千恵子コンビは本当にすごい。 【ソサ】さん [DVD(字幕)] 8点(2006-05-05 18:44:59) |
2.《ネタバレ》 諏訪三兄弟が揉めていて、それが終わった瞬間にかかってくる坊さんに成りすました寅さんからの電話のシーンが最高に笑える。さすがに自分の地元が舞台だけあって劇中使われる方言に多少違和感を感じたものの、作品そのものは80年代の寅さんのなかではバランスもよく、また最初に書いたように非常に笑える作品でもあり、シリーズ後期作の中でも傑作といえる一本だと思う。マドンナ役の竹下景子もこのあと2回違うマドンナ役で出演しているが、やはりこの回がマドンナ役としていちばん良かったなぁ。 【イニシャルK】さん [地上波(邦画)] 8点(2005-03-08 02:09:54) |
【ゲソ】さん 8点(2004-06-02 02:54:05) |