7.ニコラスケイジ同様、自分も観ていてこの闇の世界に引きずり込まれていった。
この先どうなっていくのか全く読めない面白さやこの脚本家ならではのダークな世界観が良かった。
少し押さえ気味の演出もこの世界観と合っているように感じた。
確かにストーリーは最後まで全く捻りもないままラストを迎えるし、題材的なきつさはあるけど
それほどまで酷評される映画なのかな。
「アイズワイドシャット」のようなごくごく普通の人間で幸せな家族を持つ一人の男が、自分の仕事にやや不満を持ちながら生活している。
そういう男が仕事の関係から知ってはいけない世界に巻き込まれていく悲劇と真実という題材には惹かれるものがある。
そしてニコラスケイジの演技がやっぱり良かったな。
苦しみや悲しみや怒りを上手く演じていたし、自分の家族への愛や殺された娘や残された家族に対する思いが感じられた。
特に真実を知らせることの苦しみを演じたシーンと、金、力、快楽のためにあっさりと人を殺す人間がいる一方で、様々な理由があるにもかかわらず引きがねを引くことをためらう姿が良かった。
ただ、「はまったら抜けられなくなる世界」、「覗くと病みつきになる世界」、「悪魔と踊ると悪魔に染まる」ような意味深なセリフがあったが、そういう世界までは描かれてなかった。
そういう世界を描きたいのなら、やはりニコラスケイジに精神的にこの世界にどっぷりはめさせて、ラストで家族に帰るというのがオチとすれば良いのだが。
ホアキンの警告はしたぞみたいなセリフは肉体的な危険というよりも精神的な危険と思っていたので、あまり活きていない気がした。