1.《ネタバレ》 お恥ずかしながら私はこの作品、「民主主義万歳・自由万歳/封建制度反対」みたいな古くさい題材を扱ったものと思いこんでおりました。ですが何十年ぶりかで見直してみてこの作品は、レビュアーの皆様が既に書き込まれている「新しい価値観に対する対立・融和」という今の世相にも十分通用するテーマを描いた秀作であった事にいまさら気付いた次第です。すみません。封建制度的な態度運営を頑なに守り通す女子大学側(高峰三枝子の演技は素晴らしくこの点は不変)もさることながら、改めて今回感じたのは男性陣が時代の変化や価値観の変貌に対して、妙にぬるい反応であったという事でしょうか。芳江に対する恋人下田の対応も初見時は暖かく見守ってるんだなぁ、でしたが本当は彼自身が新しい時代/価値観に対応出来ていないのではないかと考えた次第であります。で役者。松竹映画における望月優子/浪速千恵子/東山千恵子を見ていると「おばさまオアシスじゃー」と思う位なのですが、やはり高峰秀子の演技力の幅に唸らされてしまっている自分がいる。「浮雲」のレビューにも書いてしまいましたが、同時期に「浮雲」「二十四の瞳」でこれですからね。すごいポテンシャルだ。木下作品にしては(この年のキネ旬ベストテンでは「二十四の瞳」と共に1・2位を独占)少し説明過多で時間が長すぎかな~とは思うがこれもまた良作。機会があれば。