1.《ネタバレ》 S字のカーブを華麗にワインディングしながらの序盤のカーチェイスが
遠心力に抗しながらの高速・水平アクションであるなら、
クライマックスのケーブルカー上の格闘は
低速運動とブレーキングによる振り子運動の遠心力と重力とに抗うアクションだ。
とりわけそのクライマックスは、空撮ロケによるロングショットと、
スタジオ撮影の近景ショットとのカッティング・イン・アクションが非常に絶妙で、
グリーンのドレスを纏ったヴィクトリア・ショウが開閉ドアと共に
外側に煽られるスタントなどをはじめとして巧みに編集されており、
一連のアクションの流れがまったく滞らない。
人物落下を捉えた空撮ショットはまさに息を呑む。
それらのアクションシーンは勿論のこと、
グランドキャニオンの雄大な俯瞰・人物配置いずれにおいても
シネマスコープサイズを効果的に使った構図がいちいち決まっており素晴らしい。
廃鉱となった鉱山町を見下ろす高台に腰掛け、
ヴィクトリア・ショウの思い出話に耳を傾けるコーネル・ワイルドのシーンの
静かな叙情もいい。